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近所を探検するように、夕方、雫と家の周りを散歩するようになった。
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延々と続く田んぼ道。
カエルの鳴き声。
赤い木の実を指先で撫でる。
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翔「もうすぐ学校始まるな」
「うん」
翔「部活は？なんかやるの？」
今までは、部活どころじゃなかったもんな。そう、心の中で言う。
「････わかんない。なんか、運動がいいな」
翔「やりたいこと見つかるといいな」
「うん」
１６歳。
君の未来は、明るいよ。
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１６歳の君に、届くように。祈る。
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夜になると、シオリの夢を見る。
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翔。生姜焼き、出来たよ。シオリが夢の中で作る生姜焼きにも、マヨネーズが入っている。
翔。綺麗だね。田んぼのあぜ道を歩きながら、風に吹かれてシオリが笑う。
どうして、虹沢だったの？俺は後ろからシオリを抱き締めながら、耳元で聞く。
一度だけ。たった一度だけ、家族でここに旅行に来たの。
私は･･･何歳だったんだろう。
広い空の下で寝転がって、雲を見た。
それが綺麗で、綺麗で、世界はどこまでも広がっているって思った。
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その後すぐに両親が離婚して。
･････今思えば、あれはお別れ旅行だったのね。
最後に楽しい家族の思い出を作ろうとでも思ったのかな。
笑っちゃうよね。････････どんなに綺麗にまとめたって壊れた箱は、壊れたままなのにね。
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私が、幸せしか知らなかった私でいれた最後の場所が
虹沢だった。
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綺麗でね。
本当に、綺麗でね。
あの空が、もう一度見たかったの。
あの頃の自分に、もう一度、会いたかったの。
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夢の中でシオリが笑う。
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翔。ありがとうね。
私、･･･人生の最期に、いっぱい、幸せ、貰った。
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アラームが、あの日の、シオリの最期を知らせた機械音のように、鳴って
俺は目を覚ます。
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朝靄の中、ベッドの上で、シオリの声を、言葉を、思い出して日々が過ぎてゆく。
ラッキーアイテム
革ベルト
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storm1030(プロフ) - つづきは？ (2015年6月27日 18時) (
レス) id: 43817020fb (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - すごく素敵なお話ですね。とても感動しました。その後が気になります(´ω｀) (2015年3月1日 16時) (レス) id: 2d33a07c6c (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。瀬音さんのお話がだいすきです。未成年なのでフラグがついていない作品を読ませていただいています。どれもこれもどストライクです。続きを楽しみにしています。時子さん切ないっ……!! (2015年2月4日 16時) (レス) id: 785f67a003 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじー(プロフ) - 更新１話分で泣いて、オマケで引っ込んだ……なんか思い通りにされすぎてコワイ！子供の卒園式でちょっと泣いて友達に驚かれるくらい、全く泣きそうにない人間なんですが……。 (2015年2月4日 5時) (レス) id: 999ce25bef (このIDを非表示/違反報告)
ハプ(プロフ) - トキコさんと翔さんのお母さんの気持ちを考えたら、切なすぎて何とも言えない感情になりました。 (2015年2月3日 22時) (レス) id: c475130eed (このIDを非表示/違反報告)
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