＊未来地図＊ (ページ9)

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ヤバイ。ダメだ。

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涙は１度毀れると、止め処なく毀れる。

だから、彼に恋した２年間、絶対に泣かないでいよう、って決めて

必死に堪えてきたんだ。

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ダメだ。

泣くと、止まらない。

悲しい恋だと痛い程知りながら、それでも捨てれなくて、でも捨てたくて、でも追いかけて欲しくて、

会ったこともない女(ひと)を妬み、羨み、憎み、

顔しか知らない子供が眩しくて、悲しくて、辛かった。

２人を恨やむ自分が、悲しくて、辛かった。

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A「･･･････潤が好きでいてくれた私は、もういないよ･････」

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高校時代の私を好きでいてくれたんだろうか。

あの日焼けした真っ黒な私を。

恋なんて何も知らなくて、雑誌の体験談にトモミとキャーキャー言って笑ってて

笑いながらも将来や･･･受験が気がかりで、

未来は光に溢れているような気もしたし、

一番楽しいのは今だと分かっているような気もしたし、

校舎の窓から見上げる空はいつも蒼く、高く、

あの景色が青春と呼ぶ世界だったのだと後で知る。

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あの頃の私を潤が好きでいてくれたとしたら、

あの空の色はもっと蒼くなる。

未来に聞いた言葉で、過去が色を変える･･･････。

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ありがとう････････。

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私もね、今なら思う。

あの頃の自分が愛おしいって、今は思う。

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ずず･･･と垂れた鼻を、潤がティッシュをポケットから出してきて

潤「子供か・笑」

と笑いながら拭いた。

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・

へへ、と鼻を啜って、大きく息を吸って吐く。

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A「･････奥さんがいる人と付き合ってた。全部承知で」

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きちんと潤には言おう、と思った。

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A「･･････別れたけど、今もまだその恋を引き摺ってるんだ、私」

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ずず･･･と拭ききれなかった鼻水をすする。

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A「ね、バカでしょ」