＊未来地図＊ (ページ8)

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潤の指が、フリーズした私の髪を撫でる。

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潤「白無垢着せてやるから、南の島の、海がすげー綺麗な所に旅行に連れていってやるから」

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潤の掌が、私の頬にそっと触れる。

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潤「結婚しよう」

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A「･････冗談･････」

冗談言わないでってば、そう言おうとするのに、潤の瞳に見つめられて

声が止まる。

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少し潤んだ瞳。

長い睫。

少し赤みがかった唇。

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潤が言う。

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潤「もう俺の恋も我慢の限界、ってやつでね？」

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潤「１０年以上、ずっとお前のことだけ好きだった」

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チュ、と頬に軽いキス。

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潤「お前の未来、俺にちょうだい」

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未来ーーーーーーーーー。

あの人は、１度も未来の話をしなかった。

ただほんの刹那、あの人といれればそれで構わないと自分に言い聞かせ、

あの人が胸に抱く未来は家族のことだと知りながら、気付かないふりをした。

そんな辛い恋に、身体と心が悲鳴をあげて、彼から離れた。

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追いかけてきてくれるんじゃないか。

奥さんと子供より、私を選んでくれるんじゃないか。

何度もそんな甘い夢を見て、鳴りもしない携帯を見つめ、眠れない夜を過ごした。

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A「････････潤････無理だよ」

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潤の言葉が冗談ではないと、いくら鈍い私でも気付く。

私は首を横に振る。

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A「私、潤に好きだなんて言ってもらえるような女じゃないよ」

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涙が、ポロリと零れ落ちる。