＊未来地図＊ (ページ3)

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潤「ジンライム」

小さなバーの中には重く響く音楽が、心地よい大きさで流れていて

ところどころから立ち上るタバコの煙が幻想的な世界を作り出していた。

カウンターの端っこの席に、２人並んで座り、潤は常連らしくサラリと注文してから

私に微笑む。

潤「Aは？何にする？」

A「何がお勧めですか？」

カウンター越しにバーテンダーに聞く。

バーテンダーが微笑みながら、指でメニューの１つを指差した。

A「じゃ、それで」

潤「お前、酒なら何でもいいんだろ・笑」

タバコに火を点けながら潤が笑う。

・

A「酔えればいいかな、なんでも」

・

自分でそう言って、少し悲しくなった。

楽しいお酒じゃなく、酔う為に飲むことを覚えたのはいつだろう。

・

潤「････････シュンスケ、老けたよな・笑」

潤が同窓会に話題を戻す。

A「･････結構、キテたね、頭皮・笑」

潤「俺、額に手やって隠して、ようやくシュンスケって分かったもんね笑」

A「ひどっ！まぁ私もしたけど・笑」

２人で同級生を何人も思い出して、変わってた、今の方が綺麗だ、なんだ

好き勝手に言って笑った。

・

潤「お前は変わらないな」

潤が私のオデコをコツン、と指で突く。

A「何言ってんの、高校時代より数段色っぽく綺麗になったでしょうが」

私が笑うと、もう１度額をコツン、と突かれる。

・

潤「なんも変わってねぇよ。あの頃のお前のまんまだよ」

・

分かってないなー･････笑いながらそう思う。

・

部活に一生懸命だった。陸上部でただ真っ直ぐ、前を向いて走って

真っ黒に日焼けしてた私は、もういない。

・

私はいつの間にか、悲しくても笑う術を覚えたし

罪と知りながら、愛と呼んでいけないと知りながら、見て見ぬする術も覚えた。

・

潤の知ってる頃の私は、もういない。