＊カルマの欠片たち＊ (ページ7)

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Capsule＊大野智＊６ページ7

Aの笑顔が浮かぶ。

声が耳に響く。匂いが身体を包む。

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A「智さん。ありがとう」

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会うたびにAはそう言って泣きそうな顔をして笑った。

A「私、すごく幸せ」

あの笑顔で、あの声で、僕の罪を全部知って

笑ってくれていた･･････････？

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男がペコリ、と頭を下げる。

「では、ワタクシはこれで失礼します」

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智「･･･････アンタ････誰････？」

枯れた喉から声がようやく、出た。

男は頭を上げながら微笑んだ。

「二宮和也、と申します」

智「･･ニノミヤ･・カズナリ･･･」

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ニノミヤカズナリは自分の黒いネクタイをグイ、と左手で緩める。

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和「人間界ではそうですね、神様と呼ばれたり、死神と呼ばれたり

悪魔と呼ばれたり････まぁろくでもないものです・笑」

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和「仕事も終わったし、じゃあ、これで♪」

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二宮和也は、クルリと向きをかえて街の喧騒に混じっていく。

和「あ、そうだ」

思い出したように二宮和也が僕の方を向いて言った。

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和「簡単に死なないでくださいよ。せいぜい長生きしてお仕事、頑張ってください」

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口を開こうとした僕に、目だけで結構です。と言った気がした。

和「それがアナタの罪の償い、ってヤツですし？」

黒いネクタイをスルスルと首から外して、手にブランとぶら下げて言う。

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和「俺の仕事、増やさないでネ♪」

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愛しています。ありがとう。

泣く権利がないと思っていた僕の口から嗚咽が漏れる。

ボロボロと毀れる涙が頬を伝い、顎を、首を流れうように落ちていった。

この僕の涙はAに届くだろうか。

いつか、違う世界だとしても、またあの愛しい君に会える日がくるだろうか。

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愛しています。ありがとう。

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声が、響く。

Capsule＊大野智＊END