＊カルマの欠片たち＊ (ページ4)

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Capsule＊大野智＊３ページ4

自分で処方した薬を、今日もAのピルケースに移し変える。

・

Aは青白い顔をしてベッドに横たわっていたけれど

それでも笑顔を見せた。

A「そのお薬ね、すごく効く気がするんだ」

その言葉に、僕の指が一瞬止まったけれど、青いカプセルは軽い音を立てて

ピルケースの中に流れ込んでいった。

・

A「智さんが処方してくれてるからかな？笑」

智「だね♪」

笑うAに僕も笑う。

まるでAの後ろの世界が見える程、華奢で薄い身体を

ゆっくり抱き締める。

細いAの腕がゆっくりと僕の背中に回る。

・

A「･････ごめんね」

智「なに？」

A「････えっと、その、イロンナコト、出来なくて」

遠慮気味にそう囁くAを力を込めて抱き締める。

・

智「元気になったらいっぱいイロンナコトするから、覚悟しといて・笑」

・

耳元に何回もゆっくりキスをする。

A「ふふ････笑。やぁだ････笑」

ゆっくりゆっくり、何度も何度もキスを繰り返す。

・

・

智「･･････愛してるよ」

A「･･････？なぁに････？よく、聞こえない･･････」

智「愛してる」

A「ん････」

智「愛してる」

・

智「愛してる」

・

智「愛してる」

・

愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。

････････････愛してる。

僕の、愛してる人の命が、消えていく。

・

静かに息を止めたAの身体を、僕は抱き締め続ける。

愛した人が、消えていく。

・

泣く権利はないと知りつつ、頬を一筋、涙が伝った。