＊カルマの欠片たち＊ (ページ26)

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哀しくも美しい世界＊二宮和也＊１ページ26

音のない深い闇に沈む深夜。

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いつもあなたが来る時には、微かな羽の音がする。

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飛べるの？そう聞いたことがある。

あなたは一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに口元だけで笑った。

「飛べるけれど、行きたい場所には届かない」

あなたの行きたい場所はどこなんだろう。

天上と呼ばれる場所？

それとも世界の果て？

地中深い闇の奥？

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いつも２人で抱き締めあう。

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真夏でも、真冬でも、あなたの肌は透き通るように白く、そして冷たかった。

私達は暖めあうかのように、抱き合い、眠りに落ちる。

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あなたに睡眠が必要なのかは分からない。

それでも、ただ抱き合い、朝を迎える時は泣きたい位の幸福を感じる。

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「ガリガリでみっともないけど････好きにしていいんだよ？」

そう言ったこともある。

あなたを暖められるなら、私の身体がどうなろうと構わない。

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「君を抱いたら、君も闇に堕ちる」

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あなたは短くそれだけ答えた。

「一緒に堕ちていけるなら幸せだね」

そう答えたけれど、あなたは１度も私の肌に触れない。

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いつも黒い瞳で私を見つめ、何も言わず、抱き締める。

冷たい身体、聞こえない胸の鼓動。

この人が生きる世界には何があるのだろう。

過去も未来もない世界で、何を見ているのだろう。

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どうすればいい？

どうすれば、あなたを楽にしてあげれる････････？

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出会いは１５年以上前の、まだ幼い頃。

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幼いながらも自分の命の残り火が、わずかなものだと察した頃だった。

毎日、目を泣き腫らした両親に申し訳なく、どうか、私の死が

この人達に温かく伝わりますように。それだけを祈った。

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それだけを祈る空から、あなたがやってきた。

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私の前に降り立ったあなたが何者なのか

今も分からない。

「神とも、悪魔とも呼ばれる」そう笑った。

私には神様でも、悪魔でもない。

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あなたが何者かは関係ない。

愛する人・二宮和也。

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ただ、それだけ。