＊カルマの欠片たち＊ (ページ19)

今日:45 hit、昨日:1 hit、合計:242,117 hit

永遠の記憶＊松本潤＊６ページ19

・

・

淡いピンクのワンピース姿。

髪も、服も、最後に会ったあの日とは全然違うけれど。

君だ･････････。

探し続けた、君が今、目の前にいる。

驚きの顔で俺を見つめていた彼女の瞳に、みるみる涙が浮かび、顔がくしゃくしゃに歪んだ。

俺は彼女の頬を撫でようと、震える手を伸ばそうとするのに、うまく動かない。

揺れる髪。

赤い唇。

頬を流れる涙。

愛した君が、今、目の前で生きている奇跡ーーーーーーー。

・

・

会いたかった･･･、会いたかった･･････！

声に、ならない。

「会いたい。愛してる」

・

ただそれだけを抱えて、幾年を生きてきただろう。

君に会えない世界で、君に会える未来だけを見て、生きてきた。

・

・

和「偶然とはあるものですねぇ」

・

ニノミヤカズナリが淡々と言う。

・

和「松本様、A様、これでお会いするのも最後です」

・

潤「･･････お前･････」

憎み、恨み、苦々しく思っていたこの男が、何者なのか、俺は今も知らない。

・

和「時として、神も悪魔も、世界の偶然に驚くことがあるということです♪」

・

うそ臭く笑う。

和「人は、忘れる、哀れな生き物です」

・

和「忘れることは幸福だ。･･････あなた方は残酷な道を歩いた」

俺は震える手でようやく彼女の細い肩を抱く。

・

和「残酷な記憶を、人は愛と呼ぶのでしょうかね？」

・

たいして興味もなさそうに言い、くるっと瀬を向けた。

華奢な身体が、人々の波に入り歩き出す。

・

和「あなた方がまた次の世でもお会い出来ることを願っております」

・

黒い微笑みの向こうに、無垢な輝きが見えたのは、気のせいか。

・

・

まだ震える指で、そっと愛する人の頬を撫でる。

話したいことは山程ある。

でも、会えなかった月日を語るのはよそう。

･･･････未来を、語ろう。最初に出会った頃の２人のまま、未来を語ろう。

・

永遠に残る記憶を、願い、語ろう。

永遠の記憶＊松本潤＊END