＊カルマの欠片たち＊ (ページ18)

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永遠の記憶＊松本潤＊５ページ18

和「強情な方だ。永遠の記憶を生きる哀れな方」

ニノミヤカズナリが静かに首を傾げる。

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潤「なんとでも言え！」

デスクの書類が、俺が立ち上がった拍子にバサバサと床に落ちＡ４の紙が１枚、

ニノミヤカズナリの足元に舞う。

ニノミヤカズナリはその紙を拾い上げ、ピラピラと振った。

コイツの指が鳴らなかったことに少しの安堵と、不安を抱えて睨みつける。

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潤「俺は永遠の記憶を持って生まれ、死ぬ。でもそこに時間がある。歳をとる」

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潤「････来世に繋ぐ希望がある･････永遠の時間を生きるお前の方が哀れだよ」

ピクリ、と一瞬だけニノミヤカズナリの表情が動いた気がしたけれど

すぐにいつもの動を隠した静の顔に戻った。

・

和「･････ああ、この書類、とても大事なものですネ」

ホラ。と俺に見せたのはＫ社との契約書。

まとめてあったはずが社印が押されたそれだけが、なぜかコイツの所に舞ったらしい。

どこまでも憎たらしい･････舌打ちしながら、その紙を受け取ろうと手を伸ばす。

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和「あ！」

・

わざとらしい声をニノミヤカズナリがあげた途端、小さな換気窓が開き、

大切な書類がひゅう･････と風に舞った。

潤「････！て、めぇ！」

和「下に落ちていきました♪」

ニノミヤカズナリが困ったように微笑む。

・

コイツを怒鳴るのは後だ！俺はエレベーターに乗り、８階から一気に降りる。

ビルの前の植え込みの下にヒラリ、と舞うその紙を、苛立つ思いで拾い上げると、耳元で声がした。

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・

和「ああ！なんたる偶然！」

・

いつの間にか俺の横に立つニノミヤカズナリが大げさに声をあげる。

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和「この世界ではA様、というお名前でしたっけ？」

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・

秋風の中で、揺れる記憶。

風が運んでくる。

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君の香りを、君の体温を、････君を、運んでくる。

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俺の目の前に驚いた顔で立つ、通勤途中であろう女性が、

誰なのか、すぐに心と身体が感じ取った。