＊カルマの欠片たち＊ (ページ17)

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永遠の記憶＊松本潤＊４ページ17

和「今日はあることをお話に参りました」

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床に散らばった花びらを、磨き上げられた黒い靴がつまらなそうに蹴る。

潤「話？」

怪訝な顔でニノミヤカズナリを見ると、ニノミヤカズナリが笑った。

和「あなたには永遠の記憶がある」

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蹴られた花びらが一枚、小さく風に吹かれた。

風の入らないこの部屋の、風はこの男なのだろうか。

和「ワタクシも何度もあなたにお会いするのに疲れてきまして･････笑」

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・

和「あなたの記憶を消そうと思います」

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な･･････に･･････。

記憶を、消す･･････？

・

和「あなたは解き放たれる。探しても探しても見つからず、心を焼くその愛とやらから

自由になれるーーーーーーーーーーー」

ニノミヤカズナリが右手の指を合わせる。

音が鳴れば、きっとこの男の思い通りに世界は、俺は、変わる。

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記憶を消せば、死んだら終わり。

あの人を愛して、愛されたあの輝く日々の匂いも、温かさも、終わり。

その代わり、楽になれる。

生まれた瞬間から、あの人に恋焦がれ、夢に見、一生をかけてあの人を探す業から解き放たれる。

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・

楽に･･･なれる････？

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潤「止めてくれ！！！！！！」

・

叫びに近い、獣のような声が喉から吐き出される。

潤「消したくない！忘れたくない！忘れなくていい！！！」

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辛くても、会えなくても、あの人を愛したことを忘れたくない。

忘れたくない。

忘れたくない。

あの声を、顔を、心を、身体を、一秒だって忘れたくない。

・

裕福な時代ではなかった。平和な時代ではなかった。

今の日本ではない、どこかの国のどこかの町。

少しの風でガタガタと震える窓の外の、愛する人が死んだ日の空を覚えてる。

空の色は、あれから幾年年を重ねてもあの色のまま、色を変えない。

愛する人を失った哀しみの色のまま。

・

・

それでも、愛した記憶を、失くしたくない。

彼女の全てを、失くしたくない。

茨の道でいい。血を流していい。切り刻まれても構わない。

彼女の記憶を抱えて、未来を生きる。出会うまで、永遠に。