＊カルマの欠片たち＊ (ページ11)

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白詰草-シロツメクサ-＊相葉雅紀＊４ページ11

いつの間にか、隣に男が座っていた。

条件反射でナイフをポケットにしまう。

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「お久しぶりです」

ペコリ、と頭を下げた男･･･････あぁ、新幹線の切符を落としたと思って声をかけた人･････。

今日も黒いスーツに･･･今日は黒いネクタイを締めていた。

思い出しはしたけれど、気味の悪さが身体を包む。

「彼女さん、ですか？」

････････もう違う。

もう、Aは赤の他人だ。

俺は気味の悪さと、苛立ちで返事をしないでいた。

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「大きなカバンを持っていましたが、気付きました？中身はとても軽い」

？と思い、男を見直すと、男はニッコリと笑った。

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「A様は、最初から旅行に行く気などなかった。カバンの中身はただ１つ」

男が静かに微笑む。

・

「ナイフ、１つだけ」

・

･････････どうしてこの男がAの名前を知っているのか。

どうして？そして･･･････ナイフ？Aが？ナイフを持ってる？

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「A様はホラ、あなたが乗る１本前の新幹線に乗ります」

男が、後方の乗り場を指指す。

人ごみの中に、小さくAが見えた。

背筋を伸ばし、凍った水面に立つように、凛と、美しく、息を潜めてそこにいた。

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・

「A様はあなたの地元に行く。あなたの地元で、何をしようとしているか、あなたなら分かるはずだ」

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・

強い意志を持ったAの横顔･････････。

地元･･････ナイフ･･････。

全身に氷水を浴びたように、心と身体が一瞬で冷えた。

雅「A！！！！」

枯れたと思っていた喉から、叫び声があがる。

だめだ、この距離と、この人ごみじゃ聞こえない。

走りAの元へ走ろうと立ち上がった瞬間、ぐい。と腕を掴まれた。

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たいして力を入れてる表情もしていないのに、男の腕は力強く、俺の腕を掴んだまま離さない。

雅「･････！離せよ！！！」

男が腕を掴んだまま、俺の目を見ながら淡々と言った。

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「愛ゆえに手を汚す覚悟を決めたあなたに、

同じ覚悟を決めたA様を止める言葉があるとでも？」