＊キラキラ王子様＊ (ページ8)

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☆８ページ8

A「その人に･･･会ってみようかな」

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そう告げたのは２週間前。

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雅紀兄がお風呂に入っている時、ちゃぶ台で蜜柑を手にしてる

お母さんとお婆ちゃんにそう告げた。

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お母さんとお婆ちゃんが驚いた顔で顔を見合わせる。

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「･･･どうしたの、A」

お母さんが眉をしかめる。

「もしかしてお婆ちゃんのお店の常連さんだから、断ったら申し訳ないとでも思ってる？

そんなこと考えなくていいのよ？お婆ちゃんのお店のお客さんは

お婆ちゃんにそれはもう、失礼なことも、毒も吐かれて、それでも気に入って通ってきてくださってる変な方しかいないんだから」

お母さんはまたおっとりとすごいことを言う・笑。

お婆ちゃんも剥いていた蜜柑を置いて「そうだよ」と頷いた。

「確かにシラキさんは誠実そうないい人だと思うけども、

無理に会う必要はないんだよ？シラキさんにAに伝えて下さいって言われたことを

黙っておくのはシラキさんに対して申し訳ないから、あんたに全部伝えてはきたけれども

別に受け止める必要はないんだよ」

２人が心配してくれる気持ちが嬉しいな、と思った。

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蜜柑を口に含みながら、なんてことない。って顔で答える。

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A「そうじゃないよ。私ももう二十歳なのに、男っ気も全然ないし・笑。

お付き合いしてみてもいいかなぁー、なんてね」

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雅紀兄のいるお風呂からガラガラ･･･と古いから大きな音を立てる引き戸の音がして

私は慌てて言う。

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A「だから！セッティングよろしく、です」

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雅紀兄の廊下を歩く足音を聞きながら、

A「あ、なんか恥ずかしいからさ。雅紀兄には内緒にしててね？」

そう告げることも忘れなかった。

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困惑した顔のお母さんとお婆ちゃんの横に、

お風呂上りのいい香りをさせた雅紀兄がチョコンと座り

雅「あ、俺もミーーカン♪」

と笑う姿を、

雅「あ、これ腐ってる。トウ！」

とゴミ箱に投げる姿を、

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妹として笑って見ていれるように、私の恋を終わらそう。

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そう誓ったんだ、私。