＊キラキラ王子様＊ (ページ7)

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話の始まりは数ヶ月前だった。

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雅紀兄が残業で遅くて、私はお母さんとお婆ちゃんのお店に食事をしに行っていた。

基本常連さんばかりの９時には閉める小さな店だ。

その日もお婆ちゃんは楽しそうにお客さんと話ながら料理を作り、

私とお母さんはカウンターの端っこでお酒を飲みながら

たわいもない話で盛り上がっていた。

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後片付けを手伝うよ、とお婆ちゃんに言ったけれど

お婆ちゃんは「いいよいいよ、それより９時からあのドラマ、録画しておいてよ」

と言い、録画が出来ないお母さんがお店に残り、私は慌てて家に帰った。

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そして１０時過ぎに帰ってきたお母さんとお婆ちゃんが

少し困ったように私に告げたのだ。

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「今日も来ていた常連さんが、Aを気に入ったらしい。

出来れば２人で会ってみたい、ってさ」

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その時は「モテキキタァーーー！笑」なんて言って笑いながら

「無理無理。よく知らない人と話したり会ったり出来ないよ、私」と断り

お婆ちゃんも「だよねぇ。Aは免疫ないからねぇ」と笑い

お母さんも「あまりに免疫なくて変な男にひっかからないか心配だわぁ」と笑い

「変な男にひっかかった自分達」の話をまた少しの涙と笑顔で語って終わった。

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だけど･･･それからも何回も何回も、その人からのお婆ちゃん経由のアプローチは続き･･･

地元の建設会社の２代目で真面目な好青年、シラキさん。情報が

お婆ちゃん経由で私に伝わってきた。

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誰かに気に入られる。

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そんなにモテる人生を送っていた訳でもない私には正直新鮮なことだったし

ちょっと困りつつも自分を認めて貰えたような気がして嬉しくもあった。

そして同じ位、

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いつか雅紀兄も人を好きになる。

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こうやって誰かを気に入り、恋に落ちる。

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その日がくるのが怖かった。