＊キラキラ王子様＊ (ページ3)

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祖父もいない。

こちらはなんと、私が３歳の時に「愛人宅で心臓発作で死んじゃった人」だ。

お婆ちゃんは今でも言う。

「凛子さんから連絡を貰った時にさ、あぁ良かったなぁって思ってね。

人生最期に綺麗な女の人に抱かれてあの世に逝けたなら、爺さん幸せじゃない。

でもそうじゃなくて、お茶飲んでる時に突然心臓発作起こしただなんてねぇ･･･

せめて餅を詰まらせたとかならさ、笑い話にも出来ただろうに。

あの世で悔しがってるよ、武勇伝抱えて死にたかったーってさ」

そう言いながらいつも大粒の涙をポロリ、と零すのだ。

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「女癖が悪くて、誰にでも優しくて、でもあんなにいい男はいなかった」

と微笑む。

そしてお母さんも一緒にポロリと涙を零す。

「そんなお義父さんの息子のあの人も、本当にいい男だった」

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私は物心がつくずっと前から、この強く優しい２人から

人生を貫く愛を教えられて育った。

２人はいつも美しかった。

人を心底愛した誇りと、真っ直ぐ前を見る瞳が

いつもこの温かい狭い家で私の帰りを待っていてくれた。

そしてもう１人。

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「いい男を知ってる私達が育てたアンタは間違いなくいい男になるよ」

「そうねぇ、私達が育ててるんだもの」

２人にそう笑われながら育った雅紀兄(にぃ)。

優しく強くかっこいい。

９歳上の雅紀兄はいつもいつも、お日様みたいに女３人を照らす。

キラキラ光る輝きに包まれた人。それが雅紀兄。

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幼い頃、冬の寒い夜は雅紀兄の布団に潜り込み、冷えた足を絡ませて寝た。

夏の暑い夜は２人でお互いをウチワで仰ぎながら寝た。

寝転がって見る雅紀兄の顔はいつもとは違う人みたいで

それでもどうしてこんなにかっこいいんだろう。と幼い頃からずっと思って生きてきた。