＊キラキラ王子様＊ (ページ17)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:355,087 hit

☆１７ページ17

１２月２４日。

・

・

クリスマス・イヴ。

そして、雅紀兄の誕生日。

・

・

この日の為に買ったワンピースでＭホテルに向かった。

赤？はクリスマス意識しすぎ？

白？あぁダメ、汚す。絶対汚す、私。

高いなぁ･･･後々、普段着にもしたいんだけど･･･。

と散々悩んで買った黒いワンピース。

いつもはペッタンコの靴しか履かない私はわざわざヒールも買ったのに

A「あ・家に忘れてきた･････」

ユキ「･････ったく。ハイ、これ履きな？アンタも２３・５だよね？」

ユキが呆れ顔で出してくれた華奢なピンヒールを借りた。

・

ユキ「背筋伸ばして！････アンタ、膝下、ガックガクじゃん。バンビか！生まれたてのバンビか！」

A「もっと低いヒールないのぅ？」

ユキ「女は高いヒール履いて背筋伸ばしてナンボじゃい！」

A「ひぃ･･･不安定すぎる･････」

ユキ「なんでロボットダンスの動きになるわけ？笑」

・

・

ユキは散々私の動きを笑った後、「お誘い頂いた殿方とデートに行ってきます☆」と

颯爽と冬の街に消えた。

A「ユキ！･･･ありがとね！」

ユキの背中にそう叫んだけど「お礼はいいから背筋伸ばせ！」と笑って返されただけだった。

・

・

Ｍホテルの床はフカフカの絨毯で、生まれたてのバンビも少しだけ歩きやすくてホッとした。

A「フレンチ･･･レストラン････６０階？」

クリスマスイヴのホテルは大勢の人間が、せわしなく行き交っている。

慣れた様子で部屋に繋がるエレベーターに乗り込む人達を数回見送って

レストラン階直通のエレベーターをようやく見つける。

A「６０階って･･･どんだけー････」

金色にピカピカ光るエレベーターの中で、小さく呟いた。

壁一面の鏡には、慣れない格好をして、哀しいのか泣きたいのか諦めてるのか

自分でも分からない顔をした私がいた。