＊キラキラ王子様＊ (ページ14)

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☆１４ページ14

言っちゃった。

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言っちゃった。

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一瞬だけ、ぎゅう････と雅紀兄を抱き締める。

覚えていよう。

何もかも、全部覚えていよう。

最初で最後のこの雅紀兄の体温を、覚えていよう。

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そしてバッと身体を離した。

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薄暗い灯りの下、雅紀兄の驚いた顔が浮かび上がる。

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雅紀兄の口が少し開き、何か言おうとする前に

A「私さ、明後日、お見合いなんだ♪」

明るく、明るく、告げる。

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A「いい人らしくてね？いいかなぁーって。すごいんだよ、フレンチだって！Ｍホテルのフレンチ！

フォークやナイフ使えるか自信ないよ～笑」

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これ以上涙が毀れないように、

これ以上、別れが悲しいものにならないように、

妹の顔で話し続ける。

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雅「A････、俺････」

雅紀兄が困ったような顔で、眉をしかめながら何かを告げようとするのを

気づかないフリをして。

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A「幸せになるから！私！」

にぃ･･･と笑って告げる。

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A「だから」

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A「今の、忘れて？」

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パキンと大きな音を立てて割れた恋心を、

もう２度と元に戻ることがないように、自分で粉々に砕く。

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A「雅紀兄も、幸せになってね。妹として応援してる！」

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洗面所が古くて暗くて良かった。

笑えば笑う程、滲む涙を雅紀兄に見られずに済む。

恋しいと心の奥から縋り、乞う、私の心を、雅紀兄に見られずに済む。

明るい声だけを、最後に覚えていて貰える。