＊キラキラ王子様＊ (ページ11)

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背中から抱き締めるかのように、私の口を塞ぐ雅紀兄の姿が

古い豆電球しかついていない薄暗い洗面所の鏡に映ってる。

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そのままの格好で雅紀兄が耳元で笑う。

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雅「足音がしたからどうかしたかと見にきたら･･･ギャーって･･･笑」

A「･････だっていると思わなかったから！ビックリしたもん！鏡にぬベーっと雅紀兄の顔が･･･」

雅「ぬベーって・笑。ひどっ！笑」

・

そう言いながら雅紀兄は唇に当てていた手を外し、私の唇は冷たい冬の寒さに触れた。

次の瞬間、雅紀兄の指が私の頬をぷに・と摘む。

・

雅「どの口がぬべーって言ったんだ？ん？」

A「痛っ・笑」

ぶに～と伸ばされたホッペ。

A「ギャハハ・くすぐったい！笑」

お婆ちゃんとお母さんを起こさないように、私達は小声で笑い合う。

雅「あ、逃げんな・笑」

雅紀兄の腕が後ろからぎゅう･･･と私を抱き締める。

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雅紀兄の匂いがした。

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小さい頃からずっと隣で嗅いでいた、雅紀兄の匂いがした。

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頬っぺたが少し、雅紀兄の頬に触れる。

乾いた肌。

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A「くすぐったいってば・笑」

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笑いながら、もう１人の自分が言う。

触らないで。

触らないで。

私の心に、これ以上、いま以上、あなたを刻み込まないで。

私は、ずっと大好きだったあなたを、ずっとずっと隠していたあなたへの気持ちを

隠し通して生きていくから。

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その笑顔も、その声も、その体温も、あなたの全てを

妹として大事にして生きていくから。

・

・

だからお願い。

これ以上、私の心に入ってこないで？

私があなたに縋りついて、好きだと叫び、悔やんでも悔やみきず己を呪い、

あなたの前に一生顔を出せなくなる前に。

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・

妹のまま、あなたを好きだったと、心の中だけで言わせて？