最強ちゃみの千夜一夜絵巻

淡白な人？ ページ8

A「ﾊｧｧ…」


あのあと見つめられて
心臓ﾊﾞｸﾊﾞｸになって
このままｷｽでもされるのかと思ったけど…なんもなし…。



別に期待してた訳じゃないよ？！
期待してないけど
してないけども



A「なんか物足りない…(泣)」



なんて淡白な人？！
宮様ってみんなそんなもん？！



めっちゃ後宮に女御だの更衣だの女官たちを侍らせて
あちこちで子供作ってって感じじゃないの？



ﾕﾉ「A、出来たかい？」
A「い、いえ！まだです！お待ちを！」



そして今、その淡白ﾕﾉにお願いされ
【香合わせ】なる雅なものをやらせている



A「てか…どうすればいいの？やったことないからわかんないよ(困)」



灰色やら茶色やらの粉がいっぱい



A「確か、この粉を調合して焚くのよね。て、ことはこれらをﾌﾞﾚﾝﾄﾞすればいいわけ？」



まあいっか！
適当に混ぜて嗅いでみよう



A「これとこれは？ｹﾞｯ？！臭ｯ！これだめ！じゃあこれとこれで…お！いいかも！」
ﾕﾉ「ｸｽｯ…」


だんだん楽しくなってきて
とっても大切なことを忘れてしまっていた私



ﾕﾉ「…？」
A「ﾕﾉ！待っててね！最高にいい香り作るから！」
ﾕﾉ「ああ！楽しみだなぁ…」



ﾕﾉが袖の中にそっと隠したものにも
その時芽生えた感情にも
気がつかなった




婆や「東宮様、お帰りの時間でございます。」



婆やが呼びにきた



ﾕﾉ「…」



立ち上がるﾕﾉ
あーあ…もう帰っちゃうのか…



寂しいな…
一緒にいたらﾁｬﾐのことも忘れられたのに…



ﾕﾉ「婆や。車を帰してくれ。」


え？
車を帰すってどういう…



婆や「東宮様！それはなりません…ｯ！」
ﾕﾉ「今宵は帰らぬ」
婆や「東宮様！」
ﾕﾉ「Aとしとねを共にする故、仕度せよ！」
A「ﾕﾉ…婆や…」
婆や「…承知しました。すぐにお仕度致します…」
A「婆や…ｯ！」
ﾕﾉ「A」
A「…ｯ！？」
ﾕﾉ「そなたが考えているようなことはせぬ…約束する…」



そう言って優しく抱き締めるﾕﾉ



ﾕﾉ「今の私の身分ではここに来ることもままならぬ…次いつ会えるやも…だから傍にいさせてくれ…ｯ！」



東宮という立場のﾕﾉがどうして私なんかのところに来てくれるのかは謎だ



単なる気紛れ
毎日高級な美味しいものばかり食べてたまには庶民の味にも触れてみたいと思っただけかもしれない


それでも抱き締めるその腕が
私に救いを求めているように思えた…

レプリカじゃない *一部修正・ラスト追加*→←高貴なお方 *ラスト追加*

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