最強ちゃみの千夜一夜絵巻

今の私と同じ ページ38

A「え？こっちに来るの？」


ーうん。古い城で撮影するらしい。なんて言ったかな…ﾄｩ…ー



A「ﾄｩﾙｸ？」



ーそう！ﾄｩﾙｸ城！ー



A「あそこでやるの？！ 観光地だから結構人いるよ？大丈夫なの？」



ーﾏﾁﾞで？！どうしよ！俺めっちゃそこの城、推したのに！古くて情緒あって人少ないから撮影にもってこいですよぉ！ってさー



A「ちゃんと調べないからだよ(笑)」



ーだって！お前に会いたかったからー



A「ねえ。ここﾍﾙｼﾝｷからﾄｩﾙｸまでどれだけかかるか知ってる？電車で２時間だよ？」



ーえ？！そんなにかかるの？！ー



A「飛行機だと３５分だけどね(笑)」



ーA！ー



A「ﾌﾌﾌ(笑) だからちゃんと調べてよ(笑)」



ーったく！俺の気持ちわかってる？！ Aに会いたくて仕方ないのに！いつまでそっちにいるつもり？ー



A「んー…わかんない」



ーそれ聞くとすぐはぐらかす。このまま戻って来ないつもりか？ー



A「戻るってどっち…？日本？それとも韓国？」



ーA…怒るよー



A「ごめん(笑) もう少し待って？時間が欲しいの…」



ーわかった…でも早く忘れて欲しい…あいつのことは…ー



A「うん…」



ーちゃんとあなたの元へ行くわ…ﾕﾉ…



A「ﾕﾉ…ｯ！」


夢を見ていた


遠い記憶の一部の夢…


あの人を忘れるために


今の私のようにﾕﾉの元へ…


どうして忘れなきゃいけなかったのか、まだ思い出せない


けど考える必要なんてない


答えは決まっている


私をｷﾞｭｯと抱き締める腕


背中に密着する肌


未来の私がﾕﾉの全てを受け入れたように


この時代の私も同じことを繰り返しているだけ…


A「ｩ…ｸｯ…ｯ！」
ﾕﾉ「A…気がついたのか？熱は？熱は下がったのか？」


額に充てた手が溢れる涙を拭う


ﾕﾉ「…そんなに私と結ばれたことが嫌だったのか？」


何も返事出来なかった
肯定も否定も…


ﾕﾉ「ﾌｯ…A…」


私の体を起こすとﾕﾉと向かい合わせになった


ﾕﾉ「覚えていないのか？あの日…女御に追い出されたこと…」
A「…」
ﾕﾉ「雲行きが怪しくなって雷が鳴ったかと思ったら雨が降りだして…心配した女御がお前を見にいったけど、もういなくて…すぐ私のところへ来たのだ…早く探しに行けとな…」


そっか…
やっぱりﾕﾉだったんだ…


あの日もあの時も来てくれたのはﾕﾉだった…

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