最強ちゃみの千夜一夜絵巻

大切な人に心を込めて ページ30

たくさんの反物が置かれた部屋に連れて行かれたﾁｬﾝﾐﾝ
ﾌﾞｽｯとしたまま座る



右大臣「ﾁｬﾝﾐﾝ」
ﾁｬﾝﾐﾝ「…」



そっぽ向いたまま返事もしないが
構わず続ける



右大臣「この反物は大切な方に贈る品物だ。お前が見立てて選びなさい」
ﾁｬﾝﾐﾝ「ハァ？！何で俺が？！」
右大臣「こういうのは得意であろう？」
ﾁｬﾝﾐﾝ「嫌です…ｯ！」
右大臣「いいから早く選べ。」
ﾁｬﾝﾐﾝ「こんな手足縛られてどうやって選べって言うんですか！」



縛られた手足を右大臣に向ける



右大臣「口は動くであろう？」
ﾁｬﾝﾐﾝ「な…ｯ！あぁーｯ！もう！」



何を言っても無駄だと観念する



ﾁｬﾝﾐﾝ「あぁ…そこの赤いのでいいんじゃね？」



ﾊﾟｼｯ！と扇で腿を叩く右大臣



ﾁｬﾝﾐﾝ「痛ｯ！父上！」
右大臣「適当に選ぶんじゃない。自分が誰に贈りたいのかよく考えて選びなさい。」
ﾁｬﾝﾐﾝ「俺が…贈る…」



Aの顔が思い浮かぶ



ﾁｬﾝﾐﾝ「誰でもいいのか…？俺が贈りたいと思う人なら誰でも…」
右大臣「構わん。大切なのは選ぶ人の気持ち…心を込めて選びなさい…」
ﾁｬﾝﾐﾝ「…」



右大臣にそう言われて真剣に反物を見る
そんなﾁｬﾝﾐﾝを見て胸が痛む



選び終わりまた牢に戻されるﾁｬﾝﾐﾝ



ﾁｬﾝﾐﾝ「A…あれを着たお前を見たいよ…」



【Aの屋敷】



婆や「姫様、お支度は出来ま…」



十二単を纏ったAの姿に言葉をなくす



A「婆や」
婆や「よくお似合いです…ｯ！贈られた右大臣様もお喜びになられることでしょう！」
A「…」
婆や「そんな顔はいけません。人前では…東宮様の元へ行かれるのですからもっと笑って…泣きたい時はそっと衝立の後ろに隠れて…婆やの恨み言でも言って下さいませ…」
A「婆や…ｯ！」



Aを牛車に乗せる



婆や「右大臣様のお屋敷へ」
「はい」



Aを乗せた牛車が右大臣邸に動き出す
見えなくなるまで見送る婆や



婆や「姫様…どうか…どうかお幸せに…ｯ！」

ここを降りたら…→←見せかけの強がり *ラスト追加*

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