最強ちゃみの千夜一夜絵巻

見せかけの強がり *ラスト追加* ページ29

A「…」



ﾕﾉ…

やめて…



そう言いたくても声が出ない



激昂したﾕﾉが
女御様を抱いてきたばかりのその体で
まさに今、私を支配しようとしている



こんなのｲﾔ…ｯ！



そう心では否定しても
このままﾕﾉのものになってしまえば
ﾁｬﾝﾐﾝのこと忘れられるかもしれないと考えるもう一人の自分



いずれﾕﾉとはこうなる運命



ただそれが早まっただけ…



覚悟を決めﾕﾉの背中にｷﾞｭｯ…と腕を絡めた瞬間、ﾕﾉが止まった



ﾕﾉ「…そんなに辛いか？私とこうすることが…涙を流すほど…」



返事は出来なかった
ただ首を横に振るのが精一杯だった



ﾕﾉ「悪かった…感情的になりすぎた…」



体を起こすと
脱がせた衣を着せて私を抱き締めた



ﾕﾉ「A…私が女御を突き放すのは何も憎いからじゃない…女御や左大臣への当てつけにお前に吾子を生んで欲しいと思っているわけでもない…代々宮家は左大臣家所縁の女御をめとり、東宮を輩出してきた…愛情もなく、ただ義務だけで…」



そう私に話すﾕﾉの声が微かに震えだした



ﾕﾉ「私は…義務で吾子を作りたくない…ｯ！生まれてすぐ乳母に預けられ、何の愛情も得ぬまま育った私のような子を二度と…ｯ！」



自信家で
いつも強気なﾕﾉが
こんなにも自分をさらけ出して
助けを求めてる
小さな子供みたいに…



いつの間にか
泣いてるのはﾕﾉの方で
慰めて抱き締めているのは私となった



A「ﾕﾉ…傍にいるから…ずっとあなたの傍に…約束するわ…必ずあなたの傍に行くから…」
ﾕﾉ「A…」
A「だからその時まで待ってて？女御様の傍で…ﾕﾉが変わればきっと女御様もそれに応えてくれるはずよ？」
ﾕﾉ「…」



返事はなかった
でも私の中では気持ちの区切りが出来た



ﾁｬﾝﾐﾝへの想いを断ち切って
ﾕﾉの傍でずっと支えていくことを…




【右大臣邸】


ｷｨ…ｨ…



牢の扉が開く音に目が覚めるﾁｬﾝﾐﾝ



ﾁｬﾝﾐﾝ「父上？！」
右大臣「…私と一緒に来なさい」
ﾁｬﾝﾐﾝ「え？」



牢の中に入ってくるｷｭﾋｮﾝと使用人



ｷｭﾋｮﾝ「若様、失礼します」
ﾁｬﾝﾐﾝ「へ？な、何するんだ！」



ｷｭﾋｮﾝと使用人に両手両足を縛られるﾁｬﾝﾐﾝ



ﾁｬﾝﾐﾝ「父上！これはどういうことですか！」
ｷｭﾋｮﾝ「逃げたら困るに決まってるだろ。跳ねていけ。」

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