最強ちゃみの千夜一夜絵巻

重い重い十字架 ページ27

A「どうして…ｯ！？」



偶然…？
それとも何かの引き合わせ？



右大臣と呼ばれたその人は
ﾊﾟﾊﾟに瓜二つだった



婆や「姫様！」



婆やの声に右大臣が私に気がついた
咄嗟にその場を逃げようとした



右大臣「A！」



声まで
そっくり…ｯ！



右大臣「私を…覚えているか？」



その問いかけの答えではないのに
自然と首を横に降った




右大臣「そうだな…覚えているはずがない…そなたを婆やに預けた時、こんな小さな赤子だった…」
A「…」




声が近づく
この人が言いたいことはわかってる
話なんて聞きたくない
なのにその場から足が動かない…ｯ！



右大臣「A…」



私の肩に乗せる大きな手
ﾊﾟﾊﾟの手と重なってたまらず振り向いた



ﾊﾟﾊﾟ…



言葉の代わりに涙が溢れた



右大臣「大きくなったなぁ…そなたの母にそっくりだ…」



私を傷つけないように
一つ一つ言葉を選びながら話そうとするこの人の気持ちが悔しいけど痛いほど伝わってきた



A「ﾁｬﾝﾐ…中将様はご存知なのですか…？」
右大臣「いや…まだ知らぬ。そなたが東宮様の元へ立ってから話すつもりだ。」
A「中将様には…話さないで下さい…」
右大臣「だが話さねばｱﾚは納得せぬ」
A「会わせてもらえませんか？中将様と話をさせて下さい…ｯ！私の口から東宮様の元へ行くと伝えたいんです！」



このまま会わずにﾕﾉのところへ行けば
きっと
ずっと
後悔することになるだろう



現代から突然この時代に来てしまった私の運命が自分の力ではどうすることも出来ない運命だったとしたら



私はそれを甘んじて受け入れなければ…



そしてその運命が重い十字架だとしたら
その十字架を背負うのは私だけでいい



ﾁｬﾝﾐﾝまで同じ十字架を背負わせたくない…



【宮殿】


婚儀の最後の儀式の初夜を済ませたﾕﾉ
離れると女御に背を向ける



女御「東宮様…」
ﾕﾉ「…女御、そなたとは今宵限りだ…もうここへは来ぬ…」
女御「東宮様？！」
ﾕﾉ「左大臣の望み通り、地位も権力も、もちろんそなたの妻としての地位も保証する…だが…それ以上のことは何も望むな…ｯ！」
女御「なんと言う…お言葉…ｯ！東宮様、あんまりでございます…ｯ！」
ﾕﾉ「…」

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