最強ちゃみの千夜一夜絵巻

諦める理由 *ラスト追加* ページ25

ﾕﾉ「Aの笑う顔も見れた。今宵は帰るとしよう…」
A「はい、その方がいいと思います」



明日は女御様とのご婚儀
早く戻った方がいい…



わかっているのに
いつもなら笑って見送れるのに
今夜は素直になりすぎて
涙まで零れた



ﾕﾉ「そんな顔をされては行けなくなるではないか…」



優しく心に染み入る声
その胸の中に私を包み込む



ﾕﾉ「ずるい女人だ…A…」



ﾁｸｯ…
首筋に軽い痛みを感じた



ﾕﾉ「印を残しておく…この印が消える頃迎えに来る…それまでに気持ちを整理しておくのだ…」



気持ちを整理…
ﾁｬﾝﾐﾝを忘れろと言うこと…？



ﾕﾉ「忘れろとは言ってない…お前の心に中将がいようと迎えに行く。諦めろと言ったのだ…」
A「諦める理由がありません…」
ﾕﾉ「理由など考えなくともよい。受け入れればよいのだ」
A「約束出来ません…」
ﾕﾉ「約束とは破り破られるもの…深く考えるな…考えれば考えるほど傷つくことになる…」



ﾕﾉが離れた



ﾕﾉ「納得いかぬ顔だな…だがいずれわかる…私が言っていたことが…」



そう言い残して
ﾕﾉは帰っていった



この時にはわからなかった
ﾕﾉの言葉



それはそう遠くない未来で思い知ることとなった…



A「結婚…か…」



今頃、宮殿ではﾕﾉと女御様の婚儀が行われてる



ﾕﾉが帰ってから冷静になっていろいろ考えてみた



ー私も東宮という立場上好きでもない女人と結婚させられる…ー



A「そりゃそうよ…東宮なんだし、未来の帝なんだから…」



帝の正室にはそれ相応の女の人がならなきゃいけないし、ましてや中宮と言ったら女御ｸﾗｽの中からしか選ばれないもの



ﾕﾉは私を中宮に立后させるつもりだと婆やが言ってた
ってことは私も女御ｸﾗｽの出自となる



女御の位を与えられるのはそれ相応の家柄だということ



A「両親のどちらかがそれなりの地位のある貴族だってことだ…」



ﾕﾉが壁に描いた似顔絵
これが描けるってことはﾕﾉと顔を会わせられる立場の人…



そうなればかなり絞られる



A「大臣といえば、太政大臣、内大臣、左大臣、右大臣…」



右大臣…
ﾁｬﾝﾐﾝのお父さん



ﾄﾞｯｸﾝ…ﾄﾞｯｸﾝ…



何かが引っ掛かる



ー深く考えるな…考えれば考えるほど傷つくことになる…ー



A「ううん！違うわ！何ﾊﾞｶなこと考えてるんだろｯ！」



何度も否定する
なのに否定すればするほど頭から離れない

どうして？！→←ほんの少しだけ

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