最強ちゃみの千夜一夜絵巻

想いは反比例 ページ20

A「…来ないじゃん」



「俺も本気で考える」って決意したあの日から
ﾋﾟﾀﾘと来なくなった



そして偶然かはたまた必然か
ﾁｬﾐが来なくなってから警戒態勢も解除された



A「もう…ｯ！今なら全然会えるのに…」



ほら！
戸口を出たり入ったりしたって咎められないんだから！



A「なんならこの塀の上だって…ｯ！」



「手伝おうか？」



A「…また来たの？」
ﾕﾉ「冷たいなぁ(苦笑)」



ﾁｬﾐが来なくなったと思ったら
この人が頻繁に顔を見せるようになった



A「そんなしょっちゅう宮殿を離れていいんですか！」
ﾕﾉ「別に黙って出てきてる訳じゃないし。誰かさんと違って。」
A「ﾁｬﾝﾐﾝとあなたでは立場が違うと思います！」
ﾕﾉ「そう？」



そうです！



ﾕﾉ「好きな女人の元へ通うことがそんなにいけないことかな？」



そこ！
そこが問題なんです！



A「簡単にそんなこと言わないで下さい！もうすぐ左大臣の姫君とご結婚されるのでしょう？変な噂等がたっては困るじゃないですか！」
ﾕﾉ「へえ！ﾔｷﾓﾁを妬いてくれるのか！」
A「違います！」



もう！
なんでもかんでも自分の都合のいいように受け取らないで！



ﾕﾉ「結婚はするよ。…その姫は私の正室となるだろうな…」
A「だったら…ｯ！」
ﾕﾉ「私はお前がいい…」



見つめながら私の頬に触れる手
そして近づく唇



A「…蹴りますよ？」
ﾕﾉ「構わん」
A「嘘じゃありません！ほんとに」
ﾕﾉ「防御するさ…」
A「ﾝﾝ…ｯ！」



唇が重なったと同時に反射的に足が出た



ｺﾞﾂﾝ！



え？！
確実に直撃したはずなのに
その場所に何か固いものが当たった



ﾕﾉ「ﾌｯ…大きな瓢箪を半分に割って中に入れた。用心に越したことがないゆえ(ﾆﾔ)」
A「そんなのｽﾞﾙｲ！」
ﾕﾉ「ずるくなどない(笑) Aを見て学んだのだ…自分の身は自分で守るものだと…」



優しく重なる唇
どんな女も蕩けてしまう甘いｷｽ…



ﾕﾉ「…どうした？抵抗せぬのか？」



何も言えない
返事は流れ落ちる涙



ﾕﾉ「今日は私の勝ちだな…」



そう言いながらもｷｽ以上のことはしなかった
それが一層ﾕﾉに支配されているように感じた



ﾁｬﾝﾐﾝ…



どうして来てくれないの？



結婚なんて考えなくてもいい…



どんな風に扱われてもいい…


あなたじゃなきゃｲﾔ…



あなたと触れ合いたいの…

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