最強ちゃみの千夜一夜絵巻

その声に従う ページ17

A「ﾕﾉ…」



凄い怖い顔
私、なんか怒らすようなこと言った…？



ﾕﾉ「よい…ｯ！来ぬなら私がそっちへ行く！」
A「だ、だめｯ！」



思わず後退り
でも直ぐ壁
逃げ場はなかった




ﾕﾉ「なぜ逃げる…ﾌｯ…中将(ちゅうじょう)に何か言われたか？」
A「中将？だれ…」
ﾕﾉ「ﾁｬﾝﾐﾝ。お前に檜扇を贈った男だ」
A「…ｯ！？」



ってことはあの扇を見つけたのは婆やじゃなくてﾕﾉだったんだ
そっか…
だからﾁｬﾐもﾕﾉが来たこと知って



ﾕﾉ「A」
A「ｲﾔ…ｯ！」



思わず近づいてきたﾕﾉの顔から逸らした



ﾕﾉ「A…」



それでも近づく
何度も首を横に振ったが
その顔を両手で挟まれ正面を向かされた



ﾕﾉ「それで私が諦めるとでも？甘いな…」
A「ごめんなさい…私ﾁｬﾝﾐﾝのことが…ｯ！？」
ﾕﾉ「関係ない…」



ﾁｬﾝﾐﾝのことが好きだと言い終わらぬうちにﾕﾉの唇が重なった



A「ﾝ…ｯ！」



押し返そうとするとその抵抗する腕を掴まれ壁に押し付けられた



ﾕﾉ「無駄だ。今回は私も引かぬ」
A「私の気持ちは無視ですか？！」
ﾕﾉ「関係ないと言ったはず。大人しく私のものになれ…」
A「誰が…ｯ！」



私が反抗的な言葉を言う度
ﾕﾉが唇で塞ぐ



何をしても無駄だと知らしめるかのように



許せない
神聖なｷｽをこんな風に使うなんて…ｯ！



ﾕﾉ「お前がそうさせた…私に醜い嫉妬の華を咲かせてしまったのだ…枯れぬことのない華を…ｯ！」



一層強くなる力
どんなに抵抗してもﾋﾞｸともしない



悔しいけど…
こんな時に男と女の差を思い知らされる
何も出来ずに助けを求めてしまう自分を



(た…すけ…て…)



来るはずもない



(…けて…ﾁｬ…ﾝﾐﾝ…)



それでも心の中で叫ぶ



(助けて…ｯ！ﾁｬﾝﾐﾝ！)



ー触らせるな！ー



ﾁｬﾐ…？



姿は見えない
頭の中で声だけが響く



ーあいつに触らせるんじゃねえ！ー



無理だよｯ！



ー何がなんでも阻止しろ！ー



出来ない！
助けに来てよ！



ーお前ならできるさ！ー



出来ないって！



ー出来る！どんな手を使ってでも自分の身は自分で守るんだ！！ー



無茶な？！
そんな勝手なこと言わないでよーーーーっ！！



ﾕﾉ「ｩ…ｯ？！」
A「ぁ…」



気がついたら
袴の前を押さえながら踞ってるﾕﾉがいた
私の右膝に残る柔らかい感触



まさか…直撃…？

愛という名の華→←わざわざ来なくても

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