世界一初恋【僕の周り】２

第五十九話 どちら様で…？ ページ20

せっかくの時間なのに一体誰だよ！

と、思いながらも

あの話を切る事が出来て良かったとも思った

ガチャ

上條｢あ？｣

A｢え？｣

戸を明けて驚いた

A｢上條助教授！え？何で？！｣

そこには大学で見たことのある生徒

名前は……そう言えば知らないな

上條｢それはこっちのセリフだ｣

A｢ええっと、つかぬ事をお聞きするっすけど、ここは助教授のご自宅で…？｣

上條｢そうだが？｣

A｢おっかしいなー。ここで合ってる筈なのに。部屋番間違えたかな？それとも階？｣

その生徒は何やらハガキを見ながらブツブツと独り言を言っている

上條｢どうかしたのか？｣

A｢あ、えっと、あの！この階に草間野分って方住んでませんすか？｣

上條｢え？野分？｣

あいつに何か用なのか？

上條｢おーい、野分ー！お前に客だぞー｣

A｢…え？｣

草間｢はい！今行きます！｣

奥の方に声をかければ返事が帰ってくる

さっき水の音がかんだから、きっと後片付けは終わってるはずだ

草間｢お待たせしました｣

野分はそう言ってニコっと笑う

A｢の、野分さん!!お、お久しぶりっす！｣

生徒は野分を見ると、ワタワタと慌てながら挨拶をした

上條｢野分、知り合いか？｣

草間｢え、いえ、えーっと……ど、どちら様で…？｣

A｢覚えてませんかね……？昔、僕がまだ幼かった時、この本を借りたんすけど……｣

そう言ってその生徒は一冊の本を差し出した

上條｢なんだ？哲学？｣

草間｢その本……、まさか、Aちゃん？！｣

A｢はい！｣

生徒が出した哲学の本を見ると

野分は驚きと同時にとても嬉しいそうな表情をした

草間｢久しぶり！｣

A｢お久しぶりっす！野分さん！｣

草間｢あ、ヒロさん初めてっすよね。紹介s｣

A｢いや、実は何回か話したことはあるんすよw｣

草間｢え、でもさっき知らな言って……｣

上條｢名前知らなかったんだ｣

草間｢あ、そうだったんですか｣

A｢そうだ野分さん！大変ながらく貸していただき、ありがとうございました｣

草間｢あ、そうだったね。どうたしまして。大学合格おめでとう｣

そう言って野分は本を受け取る

草間｢でも、今思うともうちょっと受験に役立ちそうなの貸せば良かったね。哲学なんて受験科目じゃないし｣

A｢いえ！面白かったので十分っすよ！｣

上條｢野分、このまま玄関で話すのか？｣

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