夏の約束

・ ページ50

｢そういえば大ちゃん…そろそろ"社会勉強"の時期じゃない？｣
｢う”っ…そうだっけ……？｣
｢そうだよ。人間に化けて、人間社会で社会勉強。行かなきゃだよ｣


タヌキが立派な大人になるための試練なんだ。ある程度過ごせたら、一人前のタヌキってこと。


｢…やだ…おれまだうまく化けられないもん……まだむり……｣


俺は名案を思いついて、しょぼーんと項垂れてる大ちゃんを持ち上げた。

｢そうだ！いのちゃんの学校にいってきなよ！｣
｢えっ？？？なんで！！｣
｢だって…知りたいから…。いのちゃんが何して過ごしてるか……｣
俺はここから離れられないしさ。

｢ヤダヤダ！！社会勉強は隣村のちっちゃな郵便局って俺決めてるの！都会なんて怖いよ！｣
｢隣村も都会もそんな変わんないでしょ｣
｢神様はここから出たことないから……完全に都会を舐めてるよ……｣

大ちゃんはトラックの荷台で居眠りしてたときに一度都会に行ったことがあるんだ。
あの時は色々凄かったって興奮気味に話してたくせに。

｢…行ってくれたら、大ちゃんの好きなお饅頭…好きなだけあげるよ｣
｢…さいきん、ダイエット中だから…｣

｢しょーがない…じゃあ、大ちゃんが欲しがってたマイハウス用意してあげてもいいよ｣
｢えぇっ！ほんとに？？｣
｢他の子にはあげないんだから、内緒だからね｣
｢ほんとっ？！ひぇー！まいはうすぅ〜！｣


｢じゃあ春までに、しっかり化けられるように特訓だよ！！！｣
｢うぅ〜〜でもマイハウスのためなら…！！やるぞぉー！｣






そして春、
いのちゃんが入学した高校に、瓶底メガネの彼が転校生として現れるのは
また別のお話。




おしまい☆

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作者より

やっと終わりました。。
長いこと止めていてすみません…。夏2回くらい過ぎてもはや真冬ですが…蝉の声を思い出しつつ読んでください。。
山ちゃん側の話ほぼカットしてしまいました。
パート2とかにしたくなくて…。
長すぎて自分で引いちゃうんですよねいつも…。
こんな妙なお話を最後まで読んでくださってほんとに感謝です。
さいごめちゃめちゃ続編を匂わせていますが…需要あれば…書けたら書きたいな。目指せマイホーム！

終わらせてないお話を続々と終わらせようと思っています！！
亀更新ですが、よろしくお願いします…！

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