夏の約束

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顔がめちゃくちゃ熱くなってきた
絶対真っ赤なんだけど


｢な、なにすんの……いきなり…｣
｢キスした｣
｢それはわかるけど｣

ファーストキス…俺が大事に守ってたやつ…

｢やり方…違った？｣


そんなの俺だって知らないし、ただ冗談でしたら、ダメなんだよ…こういうのは


｢…好きな人としなきゃ…｣


｢好きだからした｣

｢…………｣


好き

って…あの好き？


そうだよって答えるようにやまちゃんは笑って、
もう一回ちゃんと言った

俺のことが好きだって







｢いのちゃんが帰っちゃうの……嫌だったんだ俺｣

｢……………｣

｢だから……あんなことになったんだよ｣
タヌキの言葉が分かったり、人間じゃなくなりかけたのは、全部そのせい。
俺がいのちゃんに恋をしたから。

｢ごめんねいのちゃん｣



なんでそんなに寂しい目をするの
俺はさっきのこと怒んなきゃダメなのに、何も言えなかった。


｢一週間でお別れってちゃんと分かってても、俺の心の底にいのちゃんに帰って欲しくないって気持ちがあって…、無意識だったけど…俺はいのちゃんを呼んでた｣

｢呼んでた？｣
やまちゃんが俺を呼んだ？そんなことあったっけ…

｢いのちゃん…一人で神社まで来たでしょ…場所知らなかったのに｣
｢うん…｣
｢普通は道案内もなく来れないんだよ…あそこは人もあんまり近付かないし｣
｢……そんなだっけ……｣
別に難しくない、まっすぐ歩くと神社に着いたはず

｢昨日は雨で山に入るのも危ないのに…、そのせいで怪我もさせちゃったし…｣

｢怪我はタヌキが悪いよ｣
あいつ元々やまちゃんを騙そうとしてたんだし


｢山で怪我したり悪いことが起きないように、いのちゃんを守るつもりだった。俺の匂いはね、そういう効力があるんだ」
｢そうなんだ…｣
｢けど俺の気持ちが強すぎると、それが逆効果になるんだって…｣
｢それ…誰に聞いたの？｣
｢昨日、隣山の神様のところに行って聞いてきた｣
｢隣の山にも神様がいるの?!｣
｢いるよ。小さなお社に住んでるけど、俺よりもっと先輩の神様｣

隣山にも居るんだ…確かに神社っていろんな所にあるもんな。神社には全部やまちゃんみたいな神様がいるのかな…

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