夏の約束

・(Ｙ) ページ41

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｢それでさ、いのちゃんに触っちゃったから、どーしようって思って｣
｢おもって？｣
｢せっかくだし、ちょっと遊んでやろーって思った。｣
｢…なんか、おちょくってたもん。やまちゃん俺のこと…｣
｢ふふっ、久しぶりだったんだよ。楽しかった｣
｢それで蛍…見に連れてってくれたの？｣
｢うん…釣りしてたのも見てたよ。楽しそうだったから魚の大サービスした｣
｢あっあれ！やまちゃんの仕業？｣
｢そ、楽しかったでしょ？｣
｢なるほどね……たしかに俺あんなに釣り上手くないもん…｣



大漁大漁〜って楽しそうだったよね。
釣れた魚いっぱい食べておなか膨らまして寝てんのも可愛かった。
こんな子がずっとここに居てくれたらいいなぁって、ちょっと思っちゃった。




｢ほんとは、そこまでで遊ぶのやめるつもりだった。あんまり人間と長い間遊ぶのは良くないし…どうせ全部…忘れちゃうんだしって…｣


｢……わすれる？｣


｢俺と会ったことは忘れてもらうんだ…俺が触ってしまった人間は、みんな記憶を消してきた｣

その期間の記憶が無くなるのは変だから、俺だけを忘れて、一人で過ごしたように記憶を変える。


｢…それも……ルール?｣
｢そう。あの日深夜に行ったのは、いのちゃんが寝てる間にそれをしちゃおうと思ったんだ。｣
なんとなく…面と向かってしまうとまた話したくなったり、やりにくいかもって思ったから。



｢寝てる間にって…そんなの…ひどいよ｣

｢…起きたら何にも覚えてないし、悲しくもないよ…｣

｢やまちゃんはそれ平気なの？俺が全部忘れても…寂しくない？｣

｢………｣


いのちゃんは、いつも俺のことまで考えてくれる
あの日もそうだった

会って数日しか経ってない、どこの誰かも分かんない俺に、
寂しいなら一緒に居るよって

びっくりして、嬉しくて…ちょっと泣きそうになったんだ


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