夏の約束

・ ページ22

.


｢はやく大きくなんないかな…｣
｢やまちゃん子供好きなの?｣
｢うん…好きだよ。いのちゃんは？｣
｢おれ？俺はぁ…まぁ好き｣
｢いのちゃんはいのちゃんが子供だもんね｣
｢え…いきなり大人ぶってる｣
｢だってそーでしょ｣

た、たしかに100歳とか、すんごい年上だけど!! ちょっと悔しくてなにか言い返したかったけど何も出てこず。ぐぬぬって顔しかできなかった。
｢ふふっなにそのかお｣
｢べつに…！｣


睨み合ってるとパタパタ家の奥から足音が聞こえた


｢あら…どなた？｣
｢あっ…すいません勝手に！｣
｢うちの子いま泣いてたから飛んできたんだけど……あなたがあやしてくれたの？｣
｢え…、いや俺じゃなくて｣
山ちゃんだよねって横を向くと、誰もいなかった。
え…消えた？…どこいった？


｢寝てるみたいね…よかった…｣
｢あ、あの…佐藤のおじさん来てませんか？お弁当忘れてて…届けに来たんです｣
｢あら、佐藤さんとこの。裏に居るわ、待ってて呼んでくるから｣

庭を見渡しても居なくて、物陰を覗いたり床下も覗き込んだ。…こんなとこいるわけないか。
なんでいきなり居なくなっちゃったんだろ。


｢けー坊っ、お弁当持ってきてくれたのか｣
｢うん、はいお弁当。おじさん見つけるの大変だったよ｣
｢いやぁ〜悪いなぁ。ここが終わったら車で隣の村まで行くつもりだったから助かったよ｣
｢えっぎりぎり！良かったぁ｣
｢このお礼はちゃんとするから。気をつけて帰るんだぞ｣
｢うん。わかった｣
｢雨が酷くなったら家にいるんだぞー｣
｢はーい｣



駆け足でそこから来た道を引き返した。
途中の分かれ道で家と反対方向を選んで、神社の方へ。
山ちゃん、帰っちゃったのかもしれない。
神社に行けば会えるよね。



→day5 PM

五日目 午後→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す