夏の約束

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｢わ、いいんですか…俺…｣
何もしてないのにいいのかな…
｢いーのよ。ちょっと休憩していきんさい｣

実はそれまで行った家でもチョコレートや飴を貰って、カバンの中にそれらは貯まりつつあった。

｢…すいません、いただきます｣
｢ゆっくり食べねぇ｣

温かいお茶を飲んだら身体が温まって一気にほっとする。
甘いお饅頭も美味しい…はぁ落ち着く。
おばあさんの後をつけるように奥から三毛猫が一匹ぽてぽて歩いて出てきた。距離をとって座って、こっちをじっと見張ってる。なんだ…お饅頭はやらないぞ…


｢坊や、山神さんに会ったんかね？｣
｢え……？｣
｢おじさん話しとったんよ。甥っ子が来てから、山神さんと遊んでるって｣
｢やまがみさん……って、山のかみさま？｣
｢そう。この辺にずっと昔から居てね、私も小さい頃はよお遊んでもらったわ…｣
｢えっ！おばあさんも会ったことあるの？｣
｢子供のときね…｣
｢そうなんだ…俺が会ったのはね、男の子で、肌が白くて…綺麗な顔してて…｣
｢ふふ、そうそう。綺麗な子よ、山の神社に行くといつも会えた。…元気にしてるんやねぇ、なんか嬉しいわぁ｣


山の神社……やっぱり山ちゃんのことかな…
おばあさんが子供の頃ってことは、ずいぶん前…ほんとに長生きだ。長生きっていうのかな?




｢ごちそうさまでした｣
｢いーえ、気ぃつけてね｣
｢ばいばい。ねこちゃん｣

ぺこっと頭を下げて、最後だけ近付いてきた猫を撫でた。さらにもう一つ貰ったお饅頭を鞄に入れて、…そうだこれは山ちゃんにあげよう。おじさんが見つかったら、神社に寄って帰る計画をそこで立てた。



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