夏の約束

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その日の夜はおじさんの家に近所の人たちが集まって宴会になった。
よく釣ったなぁってみんなに褒められて、おばさんも美味しく調理したイワナ料理をたくさん出してくれた。
俺はずっといい気分でお腹いっぱいになって部屋に戻った時にはすぐ眠気に襲われた。



今日は勉強できなかったなぁ…
けど楽しかった
普段あんなに褒められることも無いし…。


…やまちゃんにも自慢したかったな
たくさん釣れたって…

あんなのきっと、やまちゃんにだって無理だよ………









『山ちゃん山ちゃん、見て!!』

『うわぁ…、いっぱい釣れたねぇ』

『へへへ〜凄いでしょ』

『ふふっ、楽しかった？』

『うん！また行きたいな』


『そっか、じゃあ』


ずっとここに居てくれる?





｢……はっ…｣


いかん…眠ってた。


山ちゃん…夢に見ちゃったよ
最後の言葉だけ…なんだかすごく近くで聞こえた。その言葉で起きたみたいに。

ずっとここに…って、…居られるわけないけど…。



｢あ…｣

肩にブランケットが掛けられてた。おばさんがしてくれたのかな…
今何時だろう…
真っ暗な中、手探りで机のライトをつけた。カチッて音と同時に柔らかい光で部屋の中が照らされる。
時計を見ると夜中の1時。誰も起きてない時間。
トイレ行きたいけど、ちょっとこの家のトイレ怖いんだよな…

｢いや…行くしかない…!｣

朝まで我慢出来るわけないし。
俺はもう中三なんだよ！来年は高校生だし、こんなんでビビってたら…

カタン

｢ひいぃぃっ｣

なに？！なんの音??
怖いよ誰か一緒に居てよ泣きそうおれ！


｢あらけーちゃん…おトイレ？｣
｢あ、おばさん…はい…｣
なんだおばさんか…びびった…

｢夜更かしも程々にね、おやすみ｣
｢はぁい｣

トイレ行ったらすぐ寝よう。
おばけじゃなくておばさんだった安心感が消えないうちに、サクサク進んで用を済ませて部屋に戻った。



｢おかえり｣

｢ただいま。…ってうわぁぁ！｣

あっやばい、うるさい俺！
いやてゆーか、なんで居るの？


｢やまちゃん！なにしてんの！｣


この前座ってた場所に同じように座ってて、一瞬幻かと思っちゃった。こんな深夜にいきなり現れるとか…おばけかよ。

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