それなりに好きなふたり (ページ2)

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ある一人の生徒先生 said ページ2

「はー。」

俺は放課後の教室を出て、ため息をついた。

別にあいつが嫌でついたものではない。

俺は小鳥遊Aのことが気になっている。

恋愛感情なのかは、もう大人なのだからわかる。

第一印象は、めちゃくちゃかわいい。

小鳥遊は俺が赴任したときから学校でも指折りのマドンナ的な存在だった。

性格はよく言えば、不思議な生徒。
悪くいえば、何を考えているかわからない怖い子。

きちんと学校には毎日通ってるし、成績も悪くない。

ただ、ある日生徒だけでなく、教師の間でも評判の悪い先生が授業で気に入らない生徒を徹底的にいじめたらしい。

その時に小鳥遊は、クラスのみんなが思ったことをその教師に伝えたそう。
言葉は少しきつかったそうだが、クラスがひとつになった。

しかし、次の日から小鳥遊は学校で浮く存在になった。
その教師がネットで小鳥遊が元ヤンなど、あることないこと悪口を書き込んだそうだ。
小鳥遊と仲良くしたら、大学に行けなくするぞという、脅し文句をつけて…

もちろん、教育委員会にも言ったがその教師はベテランで誰一人信じられなかったそうだ。

気になって、ある時に小鳥遊に
「その、大丈夫か？」
と聞いたことがある。

『あー、大丈夫です。てか菅生先生も私と話すとあのクソみたいな先生にクビにされますよ？』

マドンナからクソなんて言葉が聞けると思ってなかったから、なんかわからんけど嬉しくなった。

「ははっ笑
まあ、俺もちょっと教師の間で浮いてるから大丈夫や。」

『あー、なるほど。生徒に大人気な先生は他の先生からの嫉妬も大変なんですね。』

「まあ、そういうこと。」

あっ、私飲み物買ってきます。と言って走り出す小鳥遊。
帰ってきた小鳥遊が
『あれ、先生まだいたんだ。』
と言いつつ、俺の分の飲み物も持っている。

『うーん。しょうがないから迷って2つ買っちゃった片っぽあげる。』

「ははっ笑
しょうがないから1つもらうわ。」

いくら？って聞いても、大丈夫ー。と返ってくる。

立ったままもあれだからとしゃがんで飲む小鳥遊。

俺もそれにつられてしゃがむ。

「小鳥遊…」

話しかけて、小鳥遊を見る。

『ん？』

夕日が小鳥遊を染めたとき

「綺麗やな…」

そう、呟いている自分がいた。