*センセイ 俺が好きになったワケ。 ページ32
*
「またコイツ赤点かァ。」
職員室でつい先日行われた期末テストの採点をしていた俺は、採点を終えた用紙の名前を見てため息をついた。
__島田A、23点。
見たところ授業は真面目に受けている。のだが、何故だか島田は成績が悪く、毎回点数も良いとは言えない。
「頑張ってると思うんだがなァ」
補習を行わなくても、たまに1人で残って勉強しているのは知っている。頑張り屋な印象があるからこそもっと成績が伸びて欲しいと思う生徒だ。
俺は一通り採点をすませ、教室に戻るとそこには1人で机に向かうAがいた。
いつもは友達とよく笑っている所を見かける為、真剣に問題に向き合う顔を見て少し教室に入りづらく、なんとなくドアにかけた手を止めて彼女を見る。
「あぁーもうわかんない!!」
問題が難しいのか机をばんっと叩いて突っ伏すA。「自分ばか。」と呟く彼女の目にはじわりと涙が浮かんでいた。
自分が教えようかと思いドアを開こうとすると、急にバシッと鈍い音がした。彼女が自分の頬を両手で叩いている所を見て目を丸くする。
「よし、次だ。」
そしてその後も彼女は、何度もあきらめかけてはすっと起き上がり問題を解き続けた。
「(って、これじゃ覗いてるみてェじゃねえか。)」
彼女が背伸びして一息ついた所を見て、ふと自分の様子に我に返った。そして俺はようやくドアを開けて教室に入る。
「おう、1人で勉強かァ?えらいなァ。」
「不死川先生!お疲れ様です」
あたかも今来たばかりのように振る舞う俺に、Aはふにゃりと笑った。その表情はどこか疲れているのに、彼女はそれを感じさせないよう意気込んでいた。
「先生、私次こそ絶対いい点数とりますから!期待しててくださいね!」
島田A。
たとえ人より勉強が苦手でも言い訳しずにひたむきに頑張ることが出来る。誰よりも一生懸命な生徒。
「おう、期待しといてやらァ」
俺はお前みたいな生徒
__俺が好きになった理由。
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あや - 私はさねみん推しで、今学校の数学の先生に恋をしています。なので、このお話を読んでいて、すごく楽しかったです! (2021年9月5日 12時) (レス) id: 676a376a05 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - 由瑞さん» ありがとうございます!もう少しお付き合いください〜 (2020年3月26日 9時) (レス) id: 1945be474a (このIDを非表示/違反報告)
由瑞 - 凄く面白かったです。続き楽しみにしています! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 8d4739ba12 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - 殿茶さん» えっ、あの、ありがとうございます、小説連載されてますよね?私ずっと読ませて頂いてました!まさかコメント頂けるなんて、、嬉しい限りです。私も楽しみにしているので頑張ってください! (2020年3月15日 17時) (レス) id: c927656a5e (このIDを非表示/違反報告)
殿茶(プロフ) - これからの展開に期待!更新頑張ってください! (2020年3月15日 11時) (レス) id: ab2f0dbeb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴神 | 作成日時:2020年3月10日 10時