先生、私の気持ち気づいてよ…【名前変換オリジナル】

7話 恋 ページ9

「一年生の皆様、ご入学おめでとうございます。本日は＿＿＿＿＿＿」


入学式真っ最中な中、シンと静まり返ったこの体育館に校長先生だけの声が響く

何処の学校でも、やはり校長先生の話だけは長い

私の隣の席にいる夏希ちゃんでさえも、大きな欠伸をして眠そうな顔をしている

けど、夏希ちゃんだけでは無く、私を含め他の皆も。

…でもこの入学式には其々の先生方がいる訳で。

こっそりと目を盗んで蓮さんの姿を探す

周りをキョロキョロと見渡せば、手に資料を持った蓮さんの姿が。

途端にドキッと私の胸が高鳴る音がする


…やっぱり格好いい


ずーっと見ているだけでも、全く飽きる気配は無くて。

どうしてこんなにもカッコ良く見えるのか、その答えは分かる筈も無く

入学式早々からこんなことしているのは、多分私ぐらいなのだろうか


*


「うっわ、超眠かった〜…」


ふわあ、と又々大きな欠伸をする夏希ちゃん

教室に帰ってからというものの、殆どの皆がそう言っている


「ねえ、それにしてもさ」

「ん？」

「うち、恋しちゃったのかも知れない」

「…え？」


真剣そうな顔で此方の目を見つめる彼女

恋って…一体、誰に？

しかもさっき入学式終わったばっかだよ？

ざわざわと嫌な胸騒ぎがする

ホントは聞きたく無いけど、聞かないと悪いし…


「だ、誰に？」


恐る恐ると聞く私に、冷静な顔で応答してくれた


「でも恋したっつか、何か気になるっていうか…その人見る度に胸がドキドキしてさ？」

「う、うん？」

「なんつーか…こう、その人の特別になりたいっていうか？」


ああ…多分そういうのが恋なんだろう

私、言っちゃあれだけど、今まで誰かに恋とかした事無いし、そういう心境すら分からない

けど、夏希ちゃんの顔を見れば直ぐ分かった

彼女はとても真剣そうな顔で、でもその人の話をする度に幸せそうな顔をしていて。

でもその人の話をするのは何故か話が進んじゃって、その人の全てを知りたくて。

特別になりたい、って思うからその人の近くに、傍にいたくて。

妙な胸騒ぎや、胸が高鳴るのはその人の事だけで。


「…楠先生を好きになったのかも知れない」


＿＿嫌な予感はやはり当たっていて。

8話 辛い思い→←6話 教師の関係

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