先生、私の気持ち気づいてよ…【名前変換オリジナル】

38話 逃げてばかり ページ40

「また逃げてきちゃった…」


気づけばどうやって走ってきたのか分、私は公園のブランコに座って揺れていた

子供たちの声も聞こえなくて、今は…丁度夕方ぐらいだろうか

…今日も前回も私は逃げてばかり。

蓮さんの事を思う度に胸が痛くなって苦しくなって。

…けどこれは、叶わない恋だって分かってる

相手はもう大人だし、何しろ教師という固い職についているんだ

もし私が蓮さんに想いを言ってしまったら、なんて答えるのだろうか
…また、鈍感な答えしか返って来ないのだろうけど。

でも、言ってしまったら蓮さんの教師という立場は止められてしまうかもしれない
…もしくは転勤？

そんなのやだやだやだやだ。

蓮さんには教師という立場でいてほしいし、何しろ＿＿＿＿＿＿＿


「……ん！……奥田さんっ！」

「……え？」

「大丈夫…？泣いてるけど…」


いつの間にか流れていた涙を、そっと手で拭ってくれた蓮さん

ここまで走ってきたのか、彼は息を切らしている


「…な、ん……で…」

「もー、スーツ着たまま走るって結構辛いんだからね？暑いし動きにくいし」

「な……んで…」


ほら泣かない、と言いながら手で涙を拭ってくれる

少し疲れた表情でも、ニコニコと微笑んでくれている


「…まず、家に帰ろっか」


*


初めて入る蓮さんの家は、シンプルな家具が多くて何より蓮さんの甘い匂いがヤバい

…家って言っても隣だけど。

ソファーに腰を掛け、ヒックヒックと嗚咽を漏らしながら、何とか深呼吸をしようと呼吸を止めてみるもおさまらず。

それに気を使ったのか、ココアを入れて持ってきた

蓮さんの優しさにもっと泣きそう


「…あ、ありがと…ございま、す…」

「何か俺、迷惑掛けちゃった？」

「…え…」

「寂しい時とかなら、いつでも俺の所に来て？」


ニコッと微笑む彼に、心が和む

…さっきよりはおさまったかも

いっそこのまま彼の胸に飛び込みたい


「…何か私、逃げてばかりですね」

「どういうこと？」

「…えっと」


…と、言おうと思ったのだが今は口を閉じることにした

今は言うのが早い、かも。


「おわっ！？」

「…ごめんなさい。今はこうしたい気分なんです」


彼の胸に飛び込んで、ぎゅっと強く抱き締めた

本当はダメなんだろうけど、今はこうしていたい

ちょっとぐらい、許して下さい…


「…ごめん、なさい」

39話 彼の優しさ→←37話 接触

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