禁忌 ページ20
公演当日。
名目上ドリフェスと称されたそれはかつてのDDDのように学院内にステージが設置された。
各々、用意された台本通りに進めていく。
そこには澪先輩ゆかりの品物を使用し、それぞれが澪先輩へ思いを馳せた。
もちろんこのドリフェスの真意を知らない観客は心から楽しんでくれた。
午後には講堂で最終章が始まる。
上手くいけばその時澪先輩はここに戻ってくるはず。
私は不安半分期待半分に学院内を走り回った。
「あんず、状況はどうだ」
「蓮巳先輩。まだ何も変わったことがなくて 」
「そうか、まだ始まったばかりだ。慌てずに行こう」
そう肩に手を置かれ幾分か気持ちが楽になる。
「俺は次の出番があるから行くぞ」
「わかりました！行ってらっしゃい！」
───
着々と各舞台が終わり観客が講堂へ集まる。
それと同時に心做しか空が雲におおわれているように感じた。
肌寒い空気に包まれる。
「いきなり冷え込んできましたね。」
「うん、なんかの合図ってことなのかな」
講堂の舞台袖。
私と愛莉は観客の入りを見ながら準備に入っていた。
「開演5分前！準備はいいか？」
仁兎先輩の明るい声が袖に響いた。
「よし、いこう」
頬を叩いた瞬間。ばんっと大きな音と共に講堂の照明が落ちた。
「なに ！？」
いそいで客席の方に行くと、見事に客席に座る人々は眠りについている
「どういう状況……」
ふわっと淡い光に包まれ桜の花びらが舞い散る。
その明かりを見つめているとそこには数名の男の人に囲まれた、私の一番会いたい人の姿があった
「澪先輩！」
「……」
声をかけるも返事はかえって来ない。
「澪よ、決意は決まったか？」
澪先輩の隣で澪先輩を守るように立つ三日月さんがそう尋ねる。
「うん。全て終わらせよう」
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作者名：ナハト | 作成日時：2018年8月30日 16時
