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｢橋本さんはさ、俺と話してて楽しい？｣
『え？楽しいですけど…』
そりゃもちろん、めちゃくちゃ楽しい。
｢いつも俺が一方的に話してるからさ、橋本さんはそれで楽しいのかな？って思っちゃって｣
『私は先生の話おもしろくて好きです』
｢……橋本さん、そうやって急に俺が照れるようなこと言うよね｣
『あっ、いや、それは、その』
自分でも無意識のうちにそんなことを言っていたから、少し照れる白岩先生を見て私も顔が熱くなった。
｢橋本さんは授業中俺の目をずっと見て話を聞いてくれるよね。俺それが嬉しくてさ。あんまそういう子いないから｣
それは先生が好きだからです、なんて言えるわけなく。
『生徒として当たり前のことしてるだけです』
｢あ、でも俺そうやって他の先生に橋本さんのこと話したら｢あいついつも俺の授業では寝てるぞ？｣とか｢私のときも寝てます｣って言われたよ｣
先生は揶揄うように笑った。
バレてる、先生の授業しか真面目に受けてないことが。
でもそれよりも私のいないところで私の話をしてくれたことが嬉しくて。
｢他の授業も真面目に受けなさい｣
『はい、がんばります』
｢じゃあ、俺もうそろそろ部活行くね。また次会えるのは補習のときかな？夏休みもちゃんと勉強しなよ｣
じゃあね、そう言って私の頭をぽんぽんと撫でた。
…撫でた？
えーーーーーーー！？と心の中で大絶叫する私を置いて先生はドアへと歩いていった。
挨拶も出来ずに、先生の遠ざかっていく背中を見つめるしかなかった。
バクバク動いてる心臓がうるさい。
暑さと先生の甘い残り香で脳みそが溶けそうだ。
もう一生頭洗わないでおこうかな。なんて馬鹿なことを考えた。
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作者名：しょーこ | 作成日時：2020年5月17日 8時
