Sweet Surprise (ページ3)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:11,567 hit

3. ページ3

先生がこの学校に来て1ヶ月経ったある日。

私は弁当をいつも1人で空き教室で食べていた。

その日もいつも通り1人で弁当を食べていると教室のドアがガラッと開く音がした。

誰？いつもこの教室誰も来ないのに。

なぜかドアの方を見るのが怖くてフリーズしているとドアを開けた主が口を開いた。

｢あーここも先客いたか｣

大好きな人の大好きな声。

ドアの方を向くと先生と目が合った。

｢お、橋本さんじゃん｣

名前を呼ばれて心臓がとび上がる。

『こんにちは』

うるさいくらいぐらいに高鳴る胸に手を当てて平常を装う。

｢いつもここで食べてんの？｣

授業中とは違うタメ口の先生。

『は、はい。あの、ここ出ていきますから、先生使ってください』

｢なんで？一緒に食べようよ｣

先生は持っているコンビニ袋を見せつけるように上にあげた。

｢橋本さんが嫌ならいいけど｣

『いっ、いえ、一緒に食べたい、です』

一緒に食べたいなんて恥ずかしい言葉を言ってしまって一瞬で顔が赤くなるのがわかった。

そう言ってくれて嬉しいよ、と先生は私の隣に座った。

緊張しすぎて大好きなプチトマトの味もしなかった。

その日は先生と何を話したかも覚えてない。

先生は友達のいない私を心配してか、それから不定期に昼ごはんを食べにこの教室に来てくれた。

先生は日本史の話や自分の話、サッカー部の子の話などいろいろしてくれた。

たまに愚痴っては｢こんなこと生徒に言っちゃダメなのにね｣なんて笑った。

他の子は体験できない、先生とのふたりっきりの昼休み。

ドキドキして、でも心地よくて、私は他の子とは違う、そんな優越感に浸っていた。

友達がいない可哀想な子。そう思われてるかもしれない。同情でもいい。先生と仲良くなれることが純粋に嬉しかった。