…ん… ページ39
気を失った翔…
そっとベッドに寝かせる…
俺は…ベッドで眠っている翔の顔を見ていた…
ヒドく疲れた顔…
なぁ…聡…俺に力をくれないか？
ベッドサイドにある子供の写真に問いかける…
ベッドに凭れるように…眠ってしまった…
『パパ…パパ…』
ここは…？
『パパにやっと会えたね♪
僕は聡だよ♪
ずっとママの中にいたの…』
聡…聡…なのか？
『うん、僕…パパとママのトコへ行きたくて…
急いで来ちゃったの…
でも…急いで来ちゃったから…
いろいろ忘れた物があって…
気がついたら…ママのお腹から出ちゃったの…』
忘れ物？
『うん…でも…
僕は…ずっと…ママの心の中にいるの
ママも知ってるの…
僕ね…パパとママがちゃんとお話してほしいの
でも…ママは…嫌がってるの…』
嫌がってるって？
『ママは…ずっと…パパの愛しているの…
また…パパから…さよならって言われるって…
そう思ってるんだよ…』
えっ？
違うよ！ それは…絶対に違うよ！
『でも…ママは…そう思い込んでるんだよ…
僕…パパとママのトコへちゃんと行きたいんだ
ちゃんと産まれて…
パパとママに…ギュッと抱いてほしいの…
パパ…ママを助けてくれる？』
そのつもりで来たんだよ？
『本当に？
パパ…ママを助けられるのは…パパだけだよ
ママを…助けてくれる？』
うん！ 約束するよ！
『よかった…じゃ…ママのトコへ戻るね？
パパ…また…後でね』
聡…ありがとう…
…ん…夢？
俺は…夢を見ていたのか？
翔を…助けられるのは…俺だけ…
そうだ…翔を助けられるのは…俺だけなんだよ…！
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作者名：伽羅 | 作成日時：2022年3月20日 0時
