上書き ページ44
…いやぁ…! ……智……助けて…! 智……!
「翔…ここにいるよ?
ゆっくり目を開けて?」
ゆっくり…楓さんの…翔の目が開く…
虚ろな瞳…
「翔? 俺がわかる?」
…智……?
「うん…智だよ…翔…?
やっと見つけたんだよ?」
…智……抱いて……
「…いいの?」
…うん…智……智がほしいの…
「いいよ…翔…愛してるよ…」
…智…愛してる…智だけを…愛してる…
「…うん…知ってるよ…俺もだよ?」
…ん……ぅん……んん……ぁん…さとしぃ……
「翔…抱くよ?」
…ぅん……
俺は翔を女として抱いた…
…ああ…ぁん……ああ……はぁ……あん…!
はぁ…はぁ…智?
「正気に戻ったか? 翔…?」
どうして? ああ…
「翔が抱けって言ったんだよ?」
え? あう! 智…! 待ってぇ……ああ…!
「待てないよ…ずっと探してたんだよ?
やっと見つけたんだよ?
もう逃がさないからね…!」
…ああ…ぁん……さと……あう!
「はぁ…はぁ…やっと…見つけたんだ…
絶対に逃がさないから…覚悟しろよ…」
俺の腕の中で眠る翔…
姿は変わっても…翔には違いない…
…ん……腕?
暖かい…安心する匂いがする…
智の匂い…何ヵ月ぶりだろう…
「ん……? 起きたのか?」
…ぅん……
「翔…かくれんぼはもう終わりだよ?
左手の薬指見て?」
え? これって…智?
「返す時は直接返せよな?」
でも…私は…智の愛してる翔じゃ…
…ん……ぅん……んん……ん……!
「どうしてそう思うんだ?
愛した人がたまたま男だっただけだよ?
そして女になった…それだけだよ?」
でも…私は…智を裏切った…
…ん……ぅん……んん……んんん……!
「俺を裏切ってないよ…
寸前で助けたんだよ?
まぁ…一発殴ったけどな…」
え?
「裏切ってないよ?
翔は俺のもんでしょう? 違う?」
…智…ごめんなさい…
「やっと…帰って来たな…
おかえり…翔…」
…ただいま…智…!
「やっと…見つけて…
やっと…帰って来た…
翔…愛してるよ…
どんな姿でも…翔は翔だろう?
違うか?」
…智…智…うあああああああ〜!
「…おかえり…泣き虫の甘えん坊さん♪
もう…勝手にどっかに行くなよ?」
うん…うん…
俺の腕の中で泣きじゃくる翔…
しっかり俺を掴んでる…
やっと…やっと…俺のとこに帰って来たんだ…
おかえりなさい…翔…
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作者名:伽羅 | 作成日時:2021年9月6日 9時