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Aside
『何名様ですか?』
「2人です」
『では103号室をご利用ください。ドリンクバーはあちらに………』
カラオケにつき、折原さんと店員さんが会話をしているのを見つめる。
当たり前だけど私へ接する態度と店員さんへ接する態度は違うわけで、その差から私は折原さんと仲良しなんだ、と今更ながら自覚した。
同時に、センラさんと仲良くなんだ、とも。
「103号室やって。ドリンク先持ってこー」
店員さんから貰ったコップを片手に、もう片方の手にはマイクやらなんやらが入ったかごを持ちながら、折原さんはそう言った。
「はーい」と返事をしてコップを受け取り、オレンジジュースをなみなみと注いだ。
「折原さんは何にします?」
「んー、コーラ」
言われた通りにコーラを注いだあと、103号室へ向かった。
二人用だからかあまり広い部屋ではなく、隣に座る形になる。
「最初なにいれるー?」
音楽を入れる機械を構えながら折原さんはそう言った。
ここでようやく、本当にセンラさんとカラオケにきているという実感がわいて、手がじんわりと湿るのを感じる。
私、オリコンウィークリーで一位とった人とカラオケきてるってことだよね。
折原さんとカラオケにきているのは嬉しくて仕方ないけれど、センラさんときていると考えると、申し訳ない気持ちが胸をチクチクと刺す。
全センラーの夢を叶えちゃってるんだよ。坂田家なのに。
「えっと、とりあえず浦島坂田船の曲入れていいですか」
……私は馬鹿なの?
友達とカラオケにきたときと全く同じ返事をしてしまった。
意識低すぎ、ちゃんとして、相手はセンラさん…!
そんな御本人の前で歌えるほど上手くないって……。
「うん、ええよー。俺もなんか歌お」
荒ぶる私の脳内とは真逆に、折原さんはいつも通りのテンションで曲を探し始めていた。
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響 - これからも頑張ってください!長文失礼しました。(続きです。初めてこんなにコメント書きました(笑)) (2022年3月2日 17時) (レス) id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
響 - 日替わりのほうで予告を見て読ませていただきました!語彙力ないのでうまく伝えられるかわかりませんが一つ一つのお話がしっかりしていて話の展開も全然急じゃないのに飽きなくてすっごくいい作品でした!個人的には番外編の志麻さんが出てくるお話が好きです(笑) (2022年3月2日 17時) (レス) @page44 id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
坂ちゃん(プロフ) - やばい。すげぇ似てる。私、恋人いるんですけど、坂田家なんです。その上恋人の好きな色は黄色... (2018年12月24日 11時) (レス) id: 2e3d2564c8 (このIDを非表示/違反報告)
せらてゃ - 全て読ませて頂きました!!小説読んでて初めて笑いましたwwおもしろいとこがたくさんあって笑っちゃいましたwもうかわいかったです!!これからも頑張ってください(><) (2018年11月25日 1時) (レス) id: 838c277702 (このIDを非表示/違反報告)
ほわいとふぃっしゅ(プロフ) - つぼみさん» そのように言っていただけて本当に嬉しいです……。少し先になってしまうのですが、坂田さんの短編を書かせて頂きたいなとは思っているので、気長にお待ちください!! (2018年10月29日 18時) (レス) id: b3ad7ee62f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほわいとふぃっしゅ | 作成日時:2018年9月8日 22時