【アカギ】神出鬼没の。

本題 ページ37

「すまんなアカギ…長く待たせてしまった」

「いえ…」

部屋の中央にある卓。
アカギさんは静かに座る。


「…まさかこんな形で会うとはね…

オレに用があるのは藤沢組長だろ…？」

アカギさんの対面に座る「藤沢組長」は
いかにも、という顔をして話し始めた。


「どうにもワシにはアカギと連絡を取る方法がなくてな…

こうして川田組長にお願いしたんだ…」


「それで…本題じゃが……一体何の話を…？」

川田組長も本題を知らないようで、早速話を進めようとする。


「クク……あらかた見当はついてるさ…

ようは藤沢組の真打ちになれって言いたいんでしょう？」

アカギさんは卓の上で両手を組んだ。


私は石川さんと一緒に、アカギさんの斜め後ろで話を聞いていた。

石川さんは小さな声で「なにぃ…？」と、驚愕の声を漏らしていた。



私にはさっぱり分からず、小声で石川さんにことの事情を聞いた。

つい最近、アカギさんのニセモノが現れたこと、「浦部」という人と3200万を賭けた大勝負をしたこと…


「その様子じゃ浦部も代打ちのままなんでしょう…

惜しいから手放したくない、しかしオレのことも手に入れたい……」

「聡明聡明…！

分かっているなら話が早い、どうだ、ウチに来ないか…」

「く、組長！」
石川さんが声を上げた。

「いいんですかこんな…！！」

「…まあ安心してくださいよ石川さん」

それに返したのは組長ではなくアカギさんだった


「オレはヤクザの代打ちやら真打ちなんかになる気はサラサラねぇ…っ！

よく分かってるはずだ、あの日あの勝負を見ていたアンタになら…」

アカギさんの顔は見えないけれど、はっきりとした意志が感じられた。


そのアカギさんの言葉を聞いて、川田組長も石川さんも安堵の表情を見せた。

しかし…


「そう言うと思っていた…

だから条件を付けよう」

「…？」

藤沢組長は不思議な笑みを浮かべ、アカギさんを見つめている。


「まず…そうだな、お前は自由に動いてもらってかまわない

代打ちとは言え、浦部に適うのはお前ほどのようなもの…

今まで通り、自由に雀荘や賭博を回ってくれ」

「はあ…？」
川田組長と石川さんの呆けたような声。

「二つ目…雀荘周りに飽きたのなら浦部の代わりに好きな相手と打ってもらって良い…

しかも取り分は6割をお前にやろう」

「無茶苦茶だっ…！！ちょっと…」
石川さんの叫びを遮る様に続く。

「そして最後……

家族だ。


アカギ…お前を婿にとろう。」

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