【アカギ】神出鬼没の。

男児 ページ18

「よお、アカギ…」

「天さん…」


そこには黒髪の男が立っていた。


「珍しいじゃねえか、女なんか連れてよ！

そこのお嬢さん、一体何者だ？」

珍しいものを見たと、
私をじろりと見る「天」さん。

そんな彼を見て、アカギさんは面白そうに笑う。

「コイツはね、オレに惚れてんだ」

「はあ？」

さっきの強面ぶりはどこへやら、
すっかりぽかんと口を開けている。

「だっ、だから何を言ってるんですか！！

私そんな事一言も…！！」

私にばかりでなく、見ず知らずの人にこんなことを言われては恥ずかしさで死にそうになってしまう。

私の言葉を聞いて、アカギさんは
驚いたような顔を見せる。

「……なぜ？

じゃあ嫌いか？」

「はあ…？？な、なんでそんなに極端なんですか…！？」

アカギさんはますます不思議そうに首を傾げる。

それをみた「天さん」は笑いを堪えながら言った。

「すまねえなお嬢さん、アカギは女とか恋愛とか、そういう類に全く興味がねえんだ

オレは天貴史…あんた、名は？」

「…高槻Aです！」
天さんの言葉に、少し胸がチクリとした。

『女とか恋愛とか、そういう類に全く興味がねえんだ』

なんとなく予想はしていた。
けれど実際それを言われては、あまりにも酷だった。

チラリとアカギさんを見てみると、私や天さんの方には目もくれず、ただタバコをふかし、卓の方を見ていた。

…一方ひろとサヤ、雀荘の前で揉めていた。
「ちょ、見えないですって…！」

「うるさいなあ、私だって聞こえないのよ」

「あっ！ちょ、サヤさん！あぶなっ…」

サヤがぐいとひろを押し、二人は雀荘に転がり混んでしまった。

「うわっ…！！」

「え？

…サヤ？ひろくん！？」

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