【アカギ】神出鬼没の。

南郷 ページ14

二軒、三軒、四軒目と、

やはりどこにもアカギさんの姿はなかった。


「は〜あ……居ませんね…」
さすがのひろもため息をつく。


「もう日が暮れるよ、次でラストにしようか」
サヤの提案に、私もひろくんも賛成した。

アカギさん、どこにいるの…


サヤに「アカギさんのことが好き」と指摘されてから、
どうしてだかアカギさんのことばかり考えてしまう。

「すみません」
ラスト一軒だからと、ひろも気合を入れる。

「あっ…」
店に入ってすぐ、大柄の男が目に入った。
「A？」
サヤが不思議そうに私を見る

アカギさんと一緒にいた男の人に似てる…

「あの、すみません！」

振り返ったその顔は、アカギさんと一緒にいたその人だった。

「ん…？お嬢ちゃんどこかで…？」


「私、高槻Aって言います！

アカギさんと一緒にいた方ですよね…？」


「あ…？あ、あ！ああ〜！！

そうかそうか！どうりで…！

俺は南郷だ、…それで、何か用か？」

これがラスト一軒、アカギさんと一番強いパイプを持っているのはこの人だろうと思った。

後ろでひろくんとサヤが心配そうに見ている。


「南郷さん、あの……アカギさんの居場所、分かったりしませんか…？」

南郷さんは麻雀を打つ手を止めた。

「アカギか……そうだな…今朝別れたばかりでね

そのあとはどこへ消えたのやら…」

「……そうですか…」

私の顔があまりに暗かったのだろう、
南郷さんは親切に
「…悪いなAさん…

今度アカギと会うような機会があれば言っておくよ」
と言ってくれた。

「…！ありがとうございます…！」

博打…と言っても南郷さんは遊びで麻雀を嗜む程度なのだろう、それでもこんな世界には優しい人が居るものだと学んだ。


…結局この日は五軒回っても会えなかった。

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