背伸びして、ちゅーっ！*5th【赤葦京治】

Straightening back*180 ページ36

京治は、なんてお願いしたのかな。




「京治のお願いごとって何？？」


「ん？秘密かな」




そう言って教えてくれなかったけど・・・


きっと、バレーのことかなぁ・・・なんて思ってたりする。




私なんかのお願いなんて所詮叶いもしないことだ。




でも、少しだけ夢をください。







・







新学期、みんなは目前に迫った試験に向けて授業に集中して、休み時間には友達同士で分からないところを教え合ったりと緊迫した空気に包まれている。


そんな中、私は1人窓際の席で参考書を開いて眺めている。




もうすぐでこのクラスともお別れかぁ・・・




というより、東京から出るんだもんなぁ・・・




私ちゃんと1人暮らしできるかな。


九州なんて行ったことないし、もう心配しかないよ寧ろ・・・


面接にはちゃんと受かって、もう行くことは決まってるからすることもない。




そろそろ荷造り始めないとなぁ。


お母さんがちゃんとマンション取ってくれてるみたいだし、住む場所に関しては安心だ。




仕送りもしてくれるようだし・・・いや、でもちゃんと働くよ、うん。




1月の終わりくらいから学校にはもう来ないし、2月の上旬にはここを発つ。




せめて、最後に何か思い出がほしいなぁ・・・


なんて思うけど、そんなことしちゃったらきっと別れるのが辛い。




LINEでみんなにはもう言ってあるし、お正月みんなで集まってお別れ会もしてくれた。


ちゃんと会いに来いよって、暇なときみんなで会いに行くからって言ってくれた。


その気持ちが嬉しくて、たくさん泣いた。







貴「もう悔いなんてない、よね・・・」







呟いたこの言葉は、チャイムと同時にかき消された。

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