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北「お疲れ様、気をつけてね」
「北山さんも、朝早くからお疲れ様でした」
北山さんがエントランスに入ったのを確認して、車を発進させた。
CDの発売が近く、歌番組の出演、それにアルバムも決まったのでその打ち合わせ等々。
朝から晩まで仕事でいっぱい。
「家着く頃には日付変わっちゃうなー」
北山さんのマンションからさらに車をしばらく走らせて。
ようやく着いた自宅の駐車場に車を停めて、ポストを確認しにエントランスに上がる。
「・・うそ」
疲れ過ぎて見間違いか、それとも錯覚だろうか。
大「お、Aちゃんおつかれー」
そこに居たのは、缶コーヒー片手に壁にもたれかかってる、大倉さん。
「大倉さん！？どうして・・」
２月下旬、自動ドアで外とは遮られているとはいえ、こんなところで待ってるなんて。
缶コーヒーを持つ手も鼻先も赤くなってる。
「冷たくなってる・・とりあえず早く上がってください」
オートロックを解除して、すぐさまエレベーターで上に上がる。
大「・・急に来てごめん」
「それはいいんですけど、大倉さん風邪引いてないですか？」
大「んー、流石に寒かった」
「お風呂、沸かしますから浸かって身体温めて下さい」
大「いや、ええって」
「・・・」
大「入ってきまーす」
少々強引だとは思ったが、風邪なんて引かせられないし。
何とかお風呂場に押し込んで、その間に私もちゃちゃっとリビング片付けて。
大「あーやっぱり入ってよかったわ、めっちゃあったまった」
「風邪、本当に引いてないですか？」
大「うん、大丈夫そう」
「あの、連絡して頂けたら帰りの時間教えましたし、なんでまたあんなこと・・」
大「あー、携帯の充電切れててん。それにまぁ、びっくりする顔見たかったし♪」
「もう！次からやめてくださいね？」
少ししゅんとしてしまった大倉さんに、洗面台から持って来たドライヤーを手渡す。
大「俺ドライヤー嫌いや・・」
「濡れた髪のままでいると風邪引きますよ？」
大「・・じゃあする」
「はい」
大「Aちゃんもお風呂入ってきたら？」
「じゃあ・・」
勝手知ったる、といった感じでソファに座ってドライヤーを始めた大倉さん。
・・そういえば、なんで来たんだろう。
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作者名：Seno | 作成日時：2017年8月13日 1時
