君×僕=科学変異 (ページ13)

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episode 12 ページ13

それは５年くらい昔。

私はまだ幼かった。何も知らずに、お母さんが何と戦っていたなんて知る由も無かった。

黎子「お母さんー！｣

どーん！とお母さんの膝に寝転ぶ。
母はにこにこ笑いながらその風景を見つめる。

母「もう、黎子ったら。｣

黎子「ふふーんー！｣

そう言いながら母はいつも怒る事なく私の頭を撫でてくれる。優しくて、暖かい手。

私はその手が、いやお母さんが大好きだった。

でも、その日は少しだけ違った。

朝起きるとお母さんはいつも通り家事をしていた。
カチャカチャ＿とお皿を洗う音が台所から聞こえる。

黎子「お母さん…？おはよう…｣

そう声を掛けた時に私は息を呑んだ。
その光景に驚いて声が出なかったからなのか。

お母さんは泣いていた。
ポロポロと涙が頬を傳う。

黎子「お母さん…？どうしたの？｣

母「あの人が…、死んでしまった…。｣

黎子「お母さん？｣

その日はお母さんは家事をしたらずっと寝込んでいた。
声をかけてもうん、と頷くだけ。

私はそれが凄く寂しかった。

そんな日が続いたある日。
冷たい冷気が体全体を包み込む、冬の日。
その日は地域でも珍しい程雪が降った。

母が口を利いてくれなくなって4日目。

その日全てが変わった。