第二十一話 また会いましょう ページ22
さっさと会計を済ませ、その場を立ち去りたかったがー
安室：「お客様、お見かけしない顔ですね！ご来店は初めてですか？」
美鶴：「え・・・ええ、まあ・・・」
人当たりの良い爽やかな彼の笑顔は昔から変わらなかった。
私が３歳の時に出会った時から・・・
安室：「また来てくださいね！お待ちしています！」
美鶴：「ありがとうございます・・・その時はまた・・・」
出来るだけ、俯き加減で声を小さめにしてみる。
少なくとも、内気な深窓の佳人だと思うだろう・・・
案の上、彼は私の正体を気づくことはなかった。
会計を済ませ、ドアを開けようとした時だった。
ーガシッ
突然、右手を掴まれてしまった・・・
美鶴：「・・・あ、あの・・・どうかなさいましたか・・・？」
ドキッとした心を静ませ、あくまでも内気な美女を演じる。
ここで、慌てたら正体がばれてしまう・・・
安室：「・・・あ！す、すみません！つい、とっさに・・・」
慌てて離した彼の顔は、少し赤くなっているように見えた。
・・・まあ、“内気な美女”だから、咄嗟に掴んでしまったのだろう
ね・・・
あまり深く考えず、「いえ・・・」と軽く会釈をし、その店を
後にした。
路地裏に入り、誰もいないことを確認した私は
携帯で仲間に報告した。
美鶴：「今のところ、差し迫った感じはなかったわ・・・
これからは週に何回か接触していくつもりよ・・・」
燕：「了解！じゃあ、他の皆さんには“裏”からの護衛と情報収集を
お願いしとくね！私も色々と探ってみるわ・・・」
美鶴：「ありがとう・・・また連絡する・・・頼んだよ！」
念を押した後、私は自分のオートバイーヤマハ・TMAX500を停めてある
駐車場に向かった。
駐車場に着くと、かつらを外し、サングラスを取る。
普段の姿に戻した後、ヘルメットを被りエンジンをかけた。
走り出すオートバイに乗りながら、気持ちを切り替える。
ー迷っている暇なんかない・・・
何としても、暗殺を阻止しなければ・・・
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作者名：姫百合（プロフ） | 作成日時：2016年9月13日 21時
