千の夜をこえて (ページ50)

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ep.50 ページ50

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『……ねぇ！』

山崎「んー？」

『もう、野球やらないの……？』

山崎「……」

『……』

山崎「言ったろ？意味無いって。仮に野球して甲子園行っても見に来るやつなんかいねーから」

『何で…ちひろちゃんがいるしお父さんだって』

山崎「お父さんは来ない。医者だから忙しくて野球の試合は来たことない。なんなら、お母さんの最後の時だって病室には居なかった」

『…ぇ……』

山崎「それに俺が野球でどんなに褒められても周りのやつは俺の悪口ばっか。金もあって野球も出来る俺がうざくて」

『…そんなの関係ないじゃん。野球が上手いのは努力したからでしょ？』

山崎「……」

『ちひろちゃんから聞いた……。毎日素振りやって手に豆が出来てスプーンも持てなくなるくらい練習して部活終わりも1人で残って自主練やってたって。そんなの、周りに何て言われたっていいじゃん。

颯一郎さんの努力が結果になってるんだから』

山崎「…お前さ裏切られたことある？一緒に甲子園行こうって約束してた親友も影で俺の悪口言って俺の事笑ってた。お母さん死んで野球辞めたら、逃げたって笑」

『……』

山崎「逃げて何が悪ぃんだよ」

これがきっと彼の本心なんだろう

『……悪くない。逃げたきゃ逃げればいい。でも、それは後悔しないなら』

山崎「……」

『甲子園行けなくてもいい。ただ、私は、負けてほしくない。裏切った親友にも、颯一郎さん自分自身にも』

山崎「……」

『…それに、もし甲子園行ったらちひろちゃんも行くし私も行く！』

山崎「…？！」

『お兄ちゃんもつれて行くしソラもつれて行く！あやせ君も！颯一郎さんは1人じゃない。周りに笑われても影口言われても、私は味方だから』

山崎「……」

『……っとその……』

何私言ってんだろ……

『……って……ちひろちゃんも思ってると思う……よ？』

山崎「……っふ笑」

『……笑』

生意気って思われてもいい

夢を諦めないでほしかった

＂俺の夢！甲子園に行く！！

山崎颯一郎＂

部屋に飾られてた目標は

嘘じゃない